原田龍二(撮影=二瓶彩

 ジャンルレスな俳優・原田龍二──。今年9月30日には主演映画『虎の流儀』が2作連続公開するほか、“温泉俳優”として全裸スタイルで名湯を巡ったり、2020年からスタートしたYouTubeチャンネル『ニンゲンTV』で心霊スポットを行脚したり、今年6月には『精霊たちのブルース』(万代宝書房)で小説家デビューしたりと、とかく多彩なジャンルで精力的に活動している。

 キャリアや年齢を重ねても、臆することなく真っすぐに、次々とエネルギッシュな挑戦を続けている原田。そのバイタリティの秘訣を探るべく、本人を直撃してみた。


原田龍二(はらだ・りゅうじ)

俳優。1970年10月26日生まれ、東京都出身。A型。1990年、『第3回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』で、準グランプリを受賞。

92年、ドラマ『キライじゃないぜ』(TBS系)で芸能界デビュー。95年公開映画『日本一短い「母」への手紙』で、『第19回日本アカデミー賞』新人俳優賞を受賞。03年、『水戸黄門』の5代目助さん役に抜擢される。映画『大奥』や、NHK大河ドラマ『利家とまつ~加賀百万石物語~』、ドラマ『相棒』など話題作に多数出演。

もし今日事故で死んでも、地縛霊にはなりませんよ

原田龍二、アラフィフになっても精力高めに生きている「人生100年」時代のネオ死生観

──原田さんは、お仕事のジャンルはどうやって決めているんですか? いろいろなジャンルでかなり精力的に活動されているイメージですが……。

原田龍二(以下、原田):僕が精力的であるというよりも、精力的にさせていただいている、と言ったほうが合っているかもしれません。

自分がやらせていただいたお仕事から、どんどん派生していっていることがうれしいなと思うんです。

 たとえば、ドキュメンタリー番組『世界ウルルン滞在記』(毎日放送・TBS系)で、いろいろな国に行って現地の部族の方々と心の交流をしていたら、「こいつだったらなんでもできるだろう」ということで、『ガキ使』の笑ってはいけないシリーズ(日本テレビ系)に呼んでいただいたり。最近でも、YouTubeチャンネル『ニンゲンTV』で心霊スポットにばかり行っていたら、オカルト誌『ムー』(ワン・パブリッシング)さんのイベントに呼んでいただいたり。

 自分のやっていることが、いろいろな方々のアンテナに引っかかって、新しい企画を生んでくださったので、今日までやってこれたんです。

原田龍二、アラフィフになっても精力高めに生きている「人生100年」時代のネオ死生観

──いただいたお仕事は、どんなジャンルでも全力で。

原田:ただ、高所は苦手なので、スカイダイビングとかはちょっと……。

やろうと思えばできるんですよ。でも、それは僕じゃなくてもいいんじゃないかなと。原田龍二にしかやれないことだったら、もちろんやらせていただきます。

 裸になることもそのひとつです。かつて、 あるドキュメンタリー番組で出会ったベネズエラのジャングルに住 んでいる少数民族では、男性が「ふんどし」ひとつ、ほぼ裸で生活してるんです。僕はその姿を心からカッコいいと思ったんですね。

だから僕は、なんのてらいもなく裸になれるんですよ。

──裸になったり、心霊スポットに行ったり、映画に主演されたり。タフな毎日が続いているようですが、原田さんの元気の秘訣は?

原田:大変だと思ったことはないんですが、元気の秘訣は……そうですね、プライベートで走っていることでしょうか。走ればもちろん疲れますし、体力は温存しておきたいと考える方もいると思うんですが、僕は体を動かすことで活性化するし、逆にリフレッシュできるんですよ。

 あとは、自分の好奇心に突き動かされることも大切ですね。僕の場合は、“いい歳して何やってるんだ”というタイプの好奇心かもしれませんが(笑)。

──原田さんは現在51歳、アラフィフですが、どんどん新しいことにチャレンジされていますよね。年齢を重ねると、新しいことにチャレンジするのを難しく感じたり、断念したりする人も多いと思うのですが……。

原田:それはもったいないですよね。もちろん、挑戦することだけが美学ではないし、日々穏やかな人生もいいと思うんです。人生、起伏があればいいというものじゃないですからね……。僕がたまたまこういう人生を歩んでいるってだけで、自分がチャレンジ精神にあふれる充実した人生を歩んでいる、みたいな意識は全然ないです。

 ただ、そうですね、日本人は“年齢”を意識しすぎる民族だなとは思います。

──原田さんは、どうやって挑戦を続けてきたんですか?

原田:根底にあって、頼りにしているのは、自分の“直感”みたいなものですね。当然、僕は達観できている人間ではないですから、直感がハズれたり、道を踏み外したりってこともあるんですけど(笑)。でも、これはカッコいいと思う、カッコ悪いと思う、という感性は自分の中でハッキリしていて、昔から変わらないですね。

 ただ、この歳になって、前よりも物事を割り切れるようにはなったかもしれません。若い頃は、お芝居で「君を愛してるよ」なんて甘い台詞を言うのが恥ずかしくてイヤだったんです。だって僕、普段はそんなこと言いませんもん。でも今はもう、それも恥ずかしくはなくなりましたね。

──年齢を重ねたからこそ得られた、ポジティブな変化ですね。

原田:僕からのアドバイスはこの一言だけです。「人生は一度きり」。

 これ、めずらしい言葉ではないんですけど、僕の今の一番のテーマなんです。毎日、「この先、俺は死ぬんだな」って考えてますから。だから、いつどこで死んでも悔いは残らないように生きていますよ。もしも今日、この取材の帰りに交通事故に遭ったとしても、地縛霊にはなりませんよ。きっと成仏できるはずです。

原田龍二、アラフィフになっても精力高めに生きている「人生100年」時代のネオ死生観

──最近は「人生100年時代」なんて言われて、生き方も変わってきていますから、原田さんのスタンスはとても大事なことだなと感じます。

原田:長く生きることが美徳と考える風潮もありますが、僕はまったくそうは思っていないんです。「太く短く」なんて時代遅れの考え方なのかもしれないけど、人生は長さではなく、中身が大切だなと思いますね。

 ただ、人間は、“時間”を気にする動物ですからね。もちろん、僕だって「約束に遅れちゃいけないな」とか気にしていますよ。この社会に生きているのだから、仕方のないことですよね。時間を気にせずにいられるようになるのは、死んでからのお楽しみです。

原田龍二、アラフィフになっても精力高めに生きている「人生100年」時代のネオ死生観

──では、死ぬまでにこれだけはやり遂げたいということは?

原田:今、ハッキリと言えるのは「お化けを見ること」です。YouTubeの撮影でお化けの姿をカメラに収めて、みなさんにもぜひ見ていただきたい。これは僕の子どもの頃からの夢なんですよ。昔から、死後の世界に興味があったんでしょうね。

──いつ死んでも悔いのないように生きてる原田さんだからこそ、死を恐怖するのではなく、むしろ惹かれているのかもしれませんね。

原田:ただね、これはむしろ逆で、僕は残された時間を気にしているからこそ、死後の世界に惹かれているんだと思うんです。残された時間を気にしない人は、死ぬことについてもそう考えないと思うんですよ。

 僕がYouTubeで心霊スポットに行くのは、死後のための予習なんです。死後の世界は誰も見たことがないから、「三途の川」は小川なのか大河なのか、わからないですよね。それを知れることは、僕にとってはご褒美です。死後の世界は楽しみですね。そういうふうに考えているから、この世はリハーサルで、だからこそどんな挑戦をしてもいいんだと思えているのかもしれません。

原田龍二、アラフィフになっても精力高めに生きている「人生100年」時代のネオ死生観


──とはいえ、主演映画『虎の流儀』2作が公開するんですから、まだ生きていてください!

原田:僕が演じる映画『虎の流儀』の主人公・車田清も、クレイジーで面白いですよ。ハッキリ言って、現実には彼のような人はいないし、こんな人間が生きている社会があったらそれはとんでもないことです。

 ただ、映画の主人公としてならとても魅力的な人間ですね。僕も、彼が普段何を食べて、どういう風呂の入り方をして、そしてどんな死に様が待っているのか、すごく気になります。会えることなら会って一緒に酒を飲みたいし、「死んだ後、人はどうなると思います?」って聞いてみたいし、心霊スポットにも一緒に行ってみたい。そういうふうに、非常に興味を掻き立てられる人物だと思います。

 特に、2作目『激突! 燃える嵐の関門編』では、CGを使わない生身のカーアクションや爆破シーンもあります。この作品でも、いろんなことに緊張感を持ってチャレンジさせてもらえましたから、役者冥利につきましたね。

 

映画『虎の流儀 ~旅の始まりは尾張 東海死闘編~』
  『虎の流儀 ~激突!燃える嵐の関門編~』
9月30日より池袋HUMAXシネマズほかにて公開!

●『虎の流儀 ~旅の始まりは尾張 東海死闘編~』

原田龍二、アラフィフになっても精力高めに生きている「人生100年」時代のネオ死生観

【ストーリー】

組同士の抗争により親分(清水昭博)を殺された柴山一家本部長の車田清(原田龍二)は、仇を討ちにいくが、失敗し逆に追われる身となる。敵対する岩城総業へ乗り込むが返り討ちに遭い、追われる身となってしまう。二代目組長となった笠寺(川野太郎)は清の身を案じ、名古屋で運送屋を営む待田組の元へ行きおとなしくしているように命じた。しかし待田組には岐阜からきた備後組との諍いがあり、度々嫌がらせをされていることを知る。初めはおとなしく耐えていた清だったが、堅気の運送屋の仲間にも手を出されると、遂に堪忍袋の緒が切れるのだった……!

【クレジット】
原田龍二
駒木根隆介 石橋保 高杉亘 石垣佑磨 脇知弘 工藤俊作
中倉健太郎 平塚千瑛 佐藤秀光 勇翔(BOYS AND MEN)HipHop菊田
清水昭博 つまみ枝豆 薬師寺保栄 小西博之 渡辺裕之 川野太郎

●『虎の流儀 ~激突!燃える嵐の関門編~』

原田龍二、アラフィフになっても精力高めに生きている「人生100年」時代のネオ死生観

【ストーリー】

名古屋に居られなくなった車田清は北九州で地元の漁師たちを守ってきた富岡一家の世話になる。港町は平和に見えたが、裏で不動産開発会社の社長が代議士秘書を取り込み空港建設を目論んでいた。富岡一家が守ってきた港町の埋め立て計画に、車田は怒り心頭し……。

【クレジット】
原田龍二
石倉三郎 木下隆行 平野貴大 東根作寿英 森脇英理子 磯山さやか はいだしょうこ 北代高士 楽しん(友情出演)
工藤俊作 高杉亘 六平直政 せんだみつお 井手らっきょ 松田賢二 佐藤秀光 薬師寺保栄
宮川一朗太 つまみ枝豆 小西博之 渡辺裕之 川野太郎


監督:辻 裕之

企画・製作:田中宏章 脚本:村田啓一郎
プロデューサー:服巻泰三 森原俊朗 八木欣也
撮影監督:今井哲郎 録音:岩間 翼 美術:YUKI 衣装:天野多恵 手塚 勇 ヘアメイク:坂口佳那恵
ガンエフェクト:浅生マサヒロ アクションコーディネーター:玉寄兼一郎 編集:恒川岳彦
音響効果・選曲:藤本 淳 制作担当:橘 慎 助監督:山鹿孝起
製作:「虎の流儀」製作委員会(16.組エンターテインメント オデッサ・エンタテインメント スタッフライクザット)
制作:ソリッドフィーチャー
宣伝・配給:ユナイテッドエンタテインメント ©2022「虎の流儀」製作委員会