セント・フォース公式サイトより

 元NHK神田愛花アナウンサーが「フリーアナの厳しさ」に言及したことが話題になっている。テレビ局でアナウンサーとしてキャリアを積んでも、独立後にそのまま通用するケースはまれになっているようだ。

 今月3日、神田アナがMCを務めるフジテレビ系情報バラエティ番組『ぽかぽか』に、NHK時代の先輩にあたる登坂淳一アナが元フジテレビの八木亜希子アナと共にゲスト出演。ゲストの「〇〇っぽい」というイメージをテーマにした「ぽいぽいトーク」のコーナーで、「今の元アナウンサー(フリーアナ)を良く思ってないっぽい」との問いが飛び出した。

 これに対して、登坂アナも八木アナも「×」の回答。登坂アナは「辞めてフリーになるっていう人は自分でいろんなことに挑戦しようとしている。そうは思わない」と語り、八木アナも「元アナウンサーってことは今は別に自由だし、自己責任。よくなければ仕事はこないっていう世界なので。

求められるっていうのはそれはそれ」と理解を示した。

 これを受けて、MCのハライチ澤部佑が「神田さんはそう思ってる(今のフリーアナを良く思ってない)って言ってましたもんね」「まともに原稿も読めねえで、みたいな」と振ると、神田アナは「NHKにいた時は、アナウンサーの仕事をしてないフリーアナウンサーを『何だ?』と思ってました」「アナウンサーがMCとかやってないで、なんでアナウンサーって言ってんだろうって」と本音をこぼした。

 だが、神田アナは続けて「辞めてみてわかりました。仕事、ない」と語り、自身がフリーになったことで「フリーアナにアナウンサー本来の仕事はなかなかこない」という現実を悟ったと明かした。

 実際フリーのアナウンサーで、MCやキャスターといったポジションに就けるのはほんの一握り。神田アナ自身もNHK時代は『爆笑オンエアバトル』の6代目司会などで人気を博し、学習院大学理学部出身の才色兼備として重用されていたが、フリー転身後は、当初こそフジテレビ系情報番組『めざにゅ~』のメインキャスターを務めるなどしたものの、ほどなく仕事は地方局やBSの番組くらいになってしまった。

 起死回生の転機となったのはバナナマン日村勇紀との熱愛報道で、それをきっかけにNHK時代からは考えられないようなはっちゃけキャラに変貌。結婚後は弾けっぷりに拍車がかかり、夫に負けないほど各局のバラエティで引っ張りだこになった。もともとは知性派なのでフジテレビ系『ワイドナショー』などで鋭いコメントを発することもあり、硬軟どちらも対応できるのでより需要が高まった。まさに「フリーアナのタレント化」の代表格といえる存在で、だからこそ前述の「仕事ない」発言に実感がこもっていたのだろう。

 同じフリー転身組としては、90年代にフジテレビの人気アナとして活躍した近藤サトアナが同じく「フリーアナの壁」について証言している。近藤アナは6日付の「NEWSポストセブン」(小学館)のインタビュー記事で、フリーに転身してから妊娠をきっかけにレギュラー仕事がゼロになってしまったと告白。

事務所に所属しない「完全フリー」だったため、産休・育休の期間だけの代役を誰かに頼むことができず、そのまま仕事を失ってしまったという。

 近藤アナはアナウンサーのフリー転身について「多くの方はそれまでに培ったタレント性で下駄を履かせてもらっていろいろな仕事をもらえますが、年数が経つと『あの人誰?』という状況になるんです」と語り、ほとんどの場合は需要があるのは独立当初のみだと指摘。近藤アナの場合はナレーターに特化することで「声のプロ」として活躍し、最近は「グレイヘア」が話題になるなど意外な形で注目度が高まった。

 また、元・読売テレビの川田裕美アナも激しい浮き沈みを経験した。『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)のアシスタントとして知名度を高め、フリー転身後はテレビ7本、ラジオ2本のレギュラーを持つ売れっ子になった。しかし、やがて出演番組が次々と終了。

新鮮味が薄れたせいか新たなオファーもなく、一時は全国ネットのレギュラーが消滅した。以降は関西ローカル中心の活動になり、女優業などにも進出したが、さほど話題になることはなかった。

 だが、2019年に結婚した音楽関係者の男性との間に子どもを授かったことが大きな転機に。現在は2児のママとしてYouTubeやSNSなどで育児情報を発信しており、世の母親たちの共感を呼んだことで「ママアナウンサー」として注目を浴びた。これをきっかけに需要や好感度が上昇し、4月から日本テレビ系『ヒルナンデス!』の水曜レギュラーに仲間入り。今月10日に放送される同局系特番『1周回って知らない話』の進行アシスタント役もレギュラー放送時代から継続しており、再浮上の気配となっている。

 局アナは安定した「大企業の社員」といえるが、フリーになってしまえばタレントと立場はほぼ変わらない。アナウンサーの大半の独立理由は「待遇への不満」だといわれているが、局アナ時代の知名度だけではすぐに通用しなくなるため、誰でも成功できる世界ではないようだ。特定のスキルに特化するか、タレント化して幅広い仕事に対応していくか、需要のある属性やキャラクターを手に入れるか。飽和状態といわれるフリーアナの生き残り策は今後さらに多様化していきそうだ。

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日刊サイゾー2022.06.26