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 7月8日にツギクル芸人グランプリ2023が放送された。決勝に出演したのはインテイク、さんだる、ツンツクツン万博、さすらいラビー、三日月マンハッタン、群青団地、TCクラクション、ファイヤーサンダー、ママタルト、ひつじねいり、ゼンモンキー、徳原旅行、まんじゅう大帝国、パンプキンポテトフライ、ナイチンゲールダンスの15組。

 優勝はナイチンゲールダンスだった。全組面白かったが、この中でも特に気になる3組をご紹介する。まずはインテイク。出番1番目で漫才だったがトップバッターは不利という現象をまずイジる。ネタの始まりで「もうだめじゃん」という掴みで会場が盛り上がる。

 ただこのコンビの凄いところはこのツカミがキャラクターの紹介にもなっているのだ。

一言で言うなら気乗りしない漫才。相方が犬好きでという会話に「俺はあんま好きじゃないな」と決して本題に寄り添う形にしないことでよりキャラクターが目立ち、その会話の流れに合わないところを笑いの場所にしているという部分が台本の自然な書き方だと思う。一番会話に共感が生まれやすい漫才で見れば見るほど引き込まれていく。犬派か猫派でどっちでもないってどういうことと聞いてきたら「いるだろ」と冷静にかえす。この話は非常にここちよく共感できた。

 次にツンツクツン万博。

コントだったが1本目のお爺さんとお婆さんが交互に死ぬ瞬間の理由と生き返らせる事で笑いを取るという部分が新しく、ネタのコンパクトな運びも面白かった。一見人の死を扱っているのでダークのようだが物凄いコミカルでバカバカしく漫画のような見せ方も若いお客さんを引かせない技として上手だったと思う。

 そして2本目のピッツァマンというネタ。会社を辞めて路上パフォーマーとなった男がピザのオリジナルソングを踊りながら歌うというもの。実はこのネタは、意外な人が路上パフォーマーになったという設定自体はそれほど珍しくはない。しかしこのピッツアマンのキャラクターそして歌と動きが珍しくて全体を新しく見せている部分がとても上手いところだ。

 見終わったら路上パフォーマーのネタではなくピッツァマンのネタとして印象付ける事で別物の新しいネタとなっている。ここのコンビは演技が上手くない、しかしその部分がネタを通してマイナスに働いていないのが見せ方の上手い部分でもある。あくまでもお笑いなので演技は笑わせるのに必要な分だけの演技力でいい、それが台本とプレイヤーとの組み合わせが絶妙だった。

 最後にゼンモンキー。コントでテントの販売。大枠のこの設定が珍しく、そこでの3人でのいざこざが絶妙で3人が3種類の立場にしっかり位置し演技、台本の構成が満足できる。

ここはツンツクツン万博と真逆で演技がとても上手いというのが推せる部分の1つともなっている。この3人だとちょっとした見せ方の違いで大笑いをとることができ、ゼンモンキーはゼンモンキーでしか出来ないコントをやっている。後半にかけてのテントが人を襲っていく笑いもとても面白かった。ここは演技に目が行きすぎてストーリーが固くなり過ぎないようにもしている。笑いやすいキャラクターにもなっている。そしてこの技術を出来る人間もなかなかいない。

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日刊サイゾー2023.07.23