民放ゴールデン・プライム(GP)帯の夏ドラマは、いち早くスタートした『CODE-願いの代償-』がすでに第6話まで進み、ほとんどが第4話~第5話まで進むなど、序盤というより中盤に差し掛かっているタイミングではあるが、恒例、民放GP帯連ドラの「序盤ランキング」を行いたい。
今回もまた序盤(中盤)までの内容から、今後も楽しく観られそうな「期待作」と、放送前の期待や初回の内容に反して……な出来だった「ガッカリ作」を3作ずつピックアップする。
期待のドラマ3位 『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』土曜21時~(日本テレビ系)
『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』ドラマ公式サイトより〈あらすじ〉
2024年3月10日。鳳来高校3年D組の担任教師・九条里奈(松岡茉優)は卒業式を迎えていた。教師としてただただ適切な距離と適切な判断を選ぶだけの1年を過ごした九条が職員室へ戻ろうとしたその時、九条は突き落とされる。九条の視界に入ってきたのは、「D組 卒業おめでとう」と記された深紅のコサージュが腕に飾られた、自分の背中を押したであろう何者かの生徒の手だった。思わず「死にたくない!」と願った九条が目を開けると、なぜかそこは3年D組の教壇の前。黒板には、2023年4月6日、1年前の始業式の日付が。
日テレの学園ドラマといえば、物議を醸した『女王の教室』を始め、『野ブタ。をプロデュース』『35歳の高校生』『学校のカイダン』『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』『俺のスカート、どこ行った?』などなど“攻めた”作品が目立つが、『学校のカイダン』『3年A組』などを手がけてきた福井雄太プロデューサーの本作もまた、いじめや学級崩壊に立ち向かう教師モノにSF設定を組み合わせた異色の内容だ。
主人公の九条(松岡茉優)がD組の問題児たちを指導していく動機が、1周目の人生で知った死の運命を回避するためという利己的なところから始まっているのもおもしろいし、そのために本気で生徒たちと向き合う覚悟を決めた結果、生徒たちの変化に合わせて九条もまた変化していくという成長譚になっている。のだが、30人の生徒の中に(おそらく)九条を突き落とした犯人が存在するという犯人捜しの面も当然持ち合わせているうえに、九条が「2周目」であることが今後ストーリーに波紋を及ぼしそうな展開も見せており、SF的なおもしろさも期待できる。
個人的にはこのドラマの設定を考えると、“あの人物”が犯人ではないかと予想しているが、動機などをどう説明づけるのかが気になる。そんな考察要素や、『3年A組』のような盛り上がりを見せるかどうかも含め、今期の注目作であることは間違いないだろう。
期待のドラマ2位 『VIVANT』日曜21時~(TBS系)
〈あらすじ〉
丸菱商事エネルギー開発事業部の乃木憂助(堺雅人)は、中央アジアの「バルカ共和国」にある取引先「GFL社」に契約金を誤送金するというトラブルに見舞われる。その損失額はなんと130億円。金を取り戻すべく、やむなく乃木は単身バルカへ渡るも、金はすでにダイヤに変えられ、「アマン建設会社」へと渡っていた。乃木はさっそくアマン建設のザイール(Ganbold Erkhembayar)という人物に会おうとするが、道中でタクシー運転手に騙され、砂漠に置き去りにされてしまう。
今期1位に選んでもいいぐらい、圧倒的なスケールとエンタメに満ちたスピード感のある大作で、このあたりはもう好みによるといったところだろうが、個人的には、乃木の正体について初回からヒントを出しすぎていて、第4話の展開に驚きが少なかったことで2位とした。
自衛隊の「別班(陸上幕僚監部運用支援・情報部別班)」は現実にニュースにもなったことのある存在(菅義偉内閣官房長官=当時は記者会見で存在を否定)だが、別班を扱うフィクションといえば最近でも『陸上自衛隊特務諜報機関 別班の犬』(講談社)というマンガが連載中ということもあり、ミスリードではなく、ストレートに別班を扱う内容だったのはむしろ驚きではあった(ちなみに乃木の“設定”あたりに『平和の国の島崎へ』(同)あたりを思い出している人も少なくないのでは?)。そのスケールなどから映画のようだと言われることが多いが、個人的な印象としてはビデオゲームに近く、『アンチャーテッド』のノリとテンポで『メタルギアソリッド』のシナリオを展開しているような感覚を覚えた。CGかのような美麗な砂漠の映像の非現実感や、初回の逃亡劇、第3話でのサーバールーム侵入の際にご丁寧な“チュートリアル”があったりするあたりにも、映画というよりゲームっぽさを感じた次第。
ただ豪華キャストにより、誰もが怪しくも感じられるなど、このスケール感だからこそ生まれているおもしろさは今後も担保されそうで、あとは張りめぐらされた伏線をちゃんと回収できるか、「F」やテントの謎をどう着地させられるか、といった脚本がカギだろう。『VIVANT』というタイトルにも「別班のことだった」以外のサプライズがあることを期待したい。
期待のドラマ1位 『ハヤブサ消防団』木曜21:00~(テレビ朝日系)
〈あらすじ〉
三馬太郎(中村倫也)は、スランプ気味のミステリ作家。ある日、太郎は亡き父から相続し放置したままになっていた一軒家の様子を確認するため、山間の集落“ハヤブサ地区”を訪れる。ハヤブサの豊かな自然に心をつかまれ、この地に移住することを決意する太郎。都会のストレスから解放され、穏やかな生活が送れるかと思いきや、地元の消防団に加入したのを機に太郎は連続放火騒動に巻き込まれ、さらには住民の不審死など怪事件に遭遇。
個人的に『VIVANT』と『ハヤブサ消防団』で大いに迷ったのだが、『VIVANT』は先ほどの理由で2位に。また、『VIVANT』はあらすじや役柄を放送開始まで伏せていたとはいえ、キャスティングや製作体制、ティザー映像などから期待は高まる一方だったが、『ハヤブサ消防団』は放送前のティザービジュアルが妙にポップだったこともあり、いい意味で裏切られたと感じた人は多いのではないだろうか。
ドラマ中にも言及があったように横溝正史を想起させる田園ミステリーなのだが、満島真之介、岡部たかし、梶原善、橋本じゅん、生瀬勝久といったクセのある演技巧者を消防団員に据え、ほかにも山本耕史、金田明夫、麿赤兒、一ノ瀬ワタルなどなど渋いキャスティングが目立ち、こちらも『VIVANT』のように誰もが怪しく感じられる。怪しさだけでいえばこちらのほうが一枚上手で、ミステリーの雰囲気にもぴったりだ。『VIVANT』がいわゆる国内ドラマの枠組みから外れた大作エンタメとしたならば、『ハヤブサ消防団』はその枠組みの中でいかに面白いものをつくるかという試みにおける傑作だろう。池井戸潤原作という安定感もあるが、消防団員たちの掛け合いなど、演技によってかなり膨らまされている部分も大きく、単なるミステリーにとどまらないヒューマンな“おかしみ”も加えてくれる。
この手のミステリーでは、人が次々に死んでいくために警察の介入がないのが不自然になってしまうのだが、『ハヤブサ消防団』は(人も死んでいるが)連続放火事件が主で、そこに主人公が田舎の消防団員として関わっていくという設定もうまい。『世界水泳』の影響で放送が1週休止されたためか、初回や最新の第4話だけでなく、第2話・第3話も今のところTVerで無料配信中のため、未見の方はぜひ追っかけてもらいたい。
期待のドラマ次点(4位)『こっち向いてよ向井くん』水曜22時~(日本テレビ系)
今期は期待度が高かった作品はそのままおもしろく、低かった作品はそのまま……という傾向にあると思う。中でも『ハヤブサ消防団』『VIVANT』『最高の教師』の3作が抜きん出ている印象で、他の作品はわりと横並び感があるが、強いて次点作品を挙げるなら『こっち向いてよ向井くん』だろうか。
初回放送はさながら『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)の再現ドラマのようだったが、向井くん(赤楚衛二)の“勘違い”を答え合わせしていくあたりはアンジャッシュのすれ違いコントのようでもあり、わりと淡々としていて短くまとまっている原作マンガのエピソードをうまく膨らませていた。特に原作にはない地獄のミサワ風のセリフ「もう、降参。付き合いますか」は赤楚衛二の演技と相まって最高のインパクトを放っていた。それだけに、以降(特に第3話・第4話)にやや失速感を覚えてはしまったが……。同じ日テレ水曜枠の『東京タラレバ娘』などにも通ずる恋愛の“リアル”に迫るタイプの作品だが、男性目線も交えているところが『向井くん』のおもしろさだろう。坂井戸(波瑠)が想いを寄せる相手を演じるのが市原隼人というキャスティングも絶妙で、原作がまだ完結していないだけにどんな結末となるのかも楽しみだ。
なお、GP帯ドラマを対象とする企画のため、深夜ドラマはランキングに選んでいないが、菊池風磨(Sexy Zone)主演のカンテレ制作・フジテレビ系列放送の火ドラ☆イレブン『ウソ婚』に少し触れておきたい。ジャニーズ俳優を起用したマンガ実写化ラブコメだと侮っていたが、ATP賞テレビグランプリ優秀賞に輝いた『しずかちゃんとパパ』(NHK BSプレミアムほか)の蛭田直美による脚色に驚かされた。原作であまり出番のないキャラクターの原作では明示されていない設定をドラマオリジナルで掘り下げ、このキャラクターが「ウソ」をついているとしたらどんな内容になるのかと丁寧に描いた第4話・第5話で心を掴まれてしまった。配信人気も高い『ウソ婚』だが、へたなGP帯ドラマよりずっと面白くなりそうだ。
〈あらすじ〉
浜岡妙子(若村麻由美)は年上の夫と息子と暮らす、どこにでもいる平凡な主婦。子育てとパートに追われながら、「お前は社会を知らない」と夫からは低く見られる日々。そんな中、妙子の前に西條隼人(時任勇気)と名乗る男が現れる。女優・若菜絹代(若村麻由美:二役)の事務所関係者だという西條は、若菜が週刊誌のスキャンダルがきっかけで国外へ失踪してしまったことを伝え、若菜と顔だけでなく声までもがそっくりな妙子にその身代わりとしてスキャンダルの謝罪会見に出席してほしいと頼む。突拍子もない内容に妙子は断るが、結局、西條らの説得と高額報酬につられ、若菜絹代になりきって会見に出席することになるのだが……。
「思っていたのと違う」というのが今のところの印象か。どこにでもいる平凡な主婦が、顔も声もうり二つの大女優の身代わりになる「なりすましコメディ」のはずなのだが、大女優のフリをした主婦が芸能界で騒動を起こす――というわけでもなく、主人公・妙子(若村麻由美)以外のエピソードも多く描かれているため、どうにも「なりすましコメディ」の要素が薄く、ストーリーが散漫な印象だ。
妙子の息子・あきら(中川翼)に学生起業家(永瀬莉子)が近づく、妙子のパート先の新人女子・育田(平祐奈)が元は男性だったなど、本筋とは無関係そうなエピソードが多数散りばめられているのがその最たる要因だが、あきらと育田が友人だったり、妙子のパート友達(猫背椿)の夫( 佐戸井けん太)が、若菜絹代の事務所の過重労働問題にかかわる弁護士だったりと、何かしらリンクしており、一見無関係そうなエピソードがすべてひとつの話につながるという展開が期待される。……期待されるのだが、はたしてどこまで信頼できるものか。若菜絹代の夫・夏雄(沢村一樹)の怪しげなクーラーボックスを意味深に映したり、それを真夜中に埋める場面があったりと、夏雄が絹代を殺したのではないかと思わせる展開が途中で挟まれ、「ひょっとして日常系コメディに思わせてサスペンス展開があるのか?」とも期待させたが、これがただのミスリードで、非常にガッカリさせられた。無論、主題歌が小田和正の時点でサスペンスになる可能性は低かったのだが……。
回を追うごとにツッコミどころが増えていく坂口健太郎主演の日本テレビ系日曜ドラマ『CODE-願いの代償-』とどちらをガッカリドラマ3位にするか迷ったが……。『この素晴らしき世界』はもとは鈴木京香が主演予定で、脚本家の正体が謎に包まれていることもあり、それなりに期待していたのだが、前述のようなミスリードを数話かけて引っ張る残念展開、“伏線”的なエピソードを散らばらせすぎて物語の推進力に欠けることから、こちらを3位とする。それでも最後のどんでん返しがあることに期待したい。
ガッカリドラマ2位 『真夏のシンデレラ』月曜21時~(フジテレビ系)
〈あらすじ〉
蒼井夏海(森七菜)は、海の町で生まれ育った明るく真っ直ぐで負けん気が強い性格。父親、弟との3人暮らしの夏海は、サップのインストラクターをする傍ら、父親が経営する食堂の運営と家事全般をこなしている。東京から遊びに来た水島健人(間宮祥太朗)、佐々木修(萩原利久)、山内守(白濱亜嵐)の3人は夏海の指導でサップを初体験するが、修の態度もあり、夏海は一流大卒のエリートだという3人に何となくバカにされたような気分に。そんな折、夏海は海辺の別荘で行われるパーティーに誘われる。そこにいたのはあの一流大卒の3人だった……。
昨年のTBS系火曜ドラマ『君の花になる』は主人公の暴走ぶり、脈絡のない演出・展開など“民放のちむどんどん”とでも呼びたくなる作品だったが、この『真夏のシンデレラ』を“フジテレビのちむどんどん”と呼ぶのはさすがに言い過ぎとしても(湘南と都内の距離感の怪には“ちむみ”があるが)、本家『ちむどんどん』の時のような、「すごいものを目撃している」という衝撃度がある。そこに、「謝るのも童貞?」といった屈指の迷ゼリフも飛び出し、そういう意味では目が離せない作品ではあるが、それにしてもすごい。
平成初期あたりのベタな青春夏ラブストーリーを意図的にリバイバルさせているようだが、『男女7人夏物語』から『ビーチボーイズ』『サマーヌード』などなどをなぞりながら、“金持ち男子と貧乏女子”の構図も盛り込んで魔合体させたことで、“ファンタジー湘南”を舞台にしたパラレルワールドの2023年ニッポンの物語になってしまうという、異世界ラブストーリーのような事態になってしまった。脚本家なのか、ドラマプロデューサーなのかはわからないが、“絶対神”の意向が強く働くため、雇われのサップトレーナーの身分のはずなのにひとりで都内にサップの展示会に行かされる森七菜の携帯電話は肝心なときに連絡したい相手と必ず連絡が取れないし、妙にやせ細った大工の神尾楓珠は桜井ユキのことが好きなはずなのにいちいち森七菜を振り回す。ご丁寧にも、女性ひとりに対し男性ふたりが関わる構図になっているが、森七菜(間宮祥太朗と神尾楓珠)と仁村紗和(水上恒司と森崎ウィン)はまださておき、白濱亜嵐と萩原利久が吉川愛に言い寄るパートにやや唐突感があったりと、登場人物をさばき切れていない印象も強い。現実離れしたセリフや展開に、キャストの演技もどこかコントじみて映ってしまう。
ベタベタのはずが、どう展開するか読めないという妙な魔力を持ち合わせる『真夏のシンデレラ』。間宮祥太朗と神尾楓珠がタッグを組んで不良相手に大立ち回りを繰り広げる『ナンバMG5』オマージュすら期待してしまいたくもなる……という冗談はさておき、ツッコミが追いつかない怪作なのは確か。ネタドラマとしては大成功だろうが、はたしてこれでいいのだろうか。もともと期待度は低かったが、それ以上に「すごい」作品だったため、ガッカリドラマ2位とした。
ガッカリドラマ1位 『18/40~ふたりなら夢も恋も~』火曜22時~(TBS系)
〈あらすじ〉
2023年3月。18歳になった仲川有栖(福原遥)は、亡き母の影響で、美術館の学芸員となり、いつかは海外で活躍できるキュレーターになることを夢見て、大学に進学して一人暮らしをすることが決まっていた。だが、迎えた高校卒業の日、有栖は自分が予期せぬ妊娠をしていることを知る。一方、40歳を目前に控える成瀬瞳子(深田恭子)は、現代アートを扱う会社でアートとビジネスを繋ぐ仕事をする優秀なアートスペシャリストだが、恋愛からは10年遠ざかっていた。年の差が倍以上で生き方も立場も違う2人が偶然出会うことによってお互いの人生が大きく変わることに――。
『真夏のシンデレラ』の陰に隠れがちだが、こちらもなかなかのトンデモドラマだ。18歳の高校生(福原遥)が交際相手との子を妊娠し、交際相手に逃げられてしまって中絶を考えるも、縁もゆかりもないまったく無関係の40歳会社員女性(深田恭子)が出産を強く勧め、自宅に住まわせる。演出次第でホラーに仕立てることもできそうなストーリーだ。一応、40歳女性=瞳子については、婚活・妊活に励もうというタイミングで子宮内膜症が発覚し、また「昔からおせっかい」という設定がセリフの中で説明されはするのだが、それにしても赤の他人の18歳=有栖の出産に執着しすぎの印象が強い。
有栖が瞳子のもとに身を寄せたのは、母亡きあとシングルファーザーとして自分を育ててくれた父親(安田顕)に妊娠のことを言い出せなかったことも大きいが、父親の理解を得られた今、瞳子との共同生活を続ける必要はないはずなのに、なぜか実家に戻ることなく瞳子の家に住み続けており、その理由は説明されない。瞳子に出産・子育て経験があったならば、同性の瞳子の支援に甘えるのもまだ理解はできるところだが……。有栖の父親にとって、瞳子はただの娘のバイト先の上司(有栖は瞳子の勤め先が経営するカフェで働く)に過ぎないのに。
「ふたりなら夢も恋も」というサブタイトルどおり、妊娠・出産によってキャリア形成を断念せざるをえない女性の状況に対し、「シスターフッド」によって乗り越えようとする姿を描くことで女性を応援したい作品なのだと思われるが、今のところ、金銭的に余裕がある瞳子の無私のサポートによって成り立っているだけで、「有栖は運がいい」という物語でしかない。しかも、有栖は美術関係のキュレーターになるという夢を持っており、アートスペシャリストとして活躍している瞳子に支援してもらえている状況は、夢を叶えるという面でも“幸運”だ。それゆえに、瞳子が勤め先の若手キュレーター育成企画に(才能があるとはいえ)独断で有栖を抜擢したことが外野からは「ねじこんだ」と見られるのは当然だし、有栖との関係に噂が立つのも仕方ないのだが、この設定・展開は必要だったのだろうか。瞳子が出産や子育てを助けるだけでなく、有栖のキャリア形成にまでも影響力を与える存在なのは、シスターフッドものとして余計なノイズになっている印象だ。これでは、有栖が自分にとって都合のいいパトロンを見つけて夢も子どもも手にしようとしているだけのように見えてしまう。有栖に言い寄る男子(鈴鹿央士)が実は瞳子が勤める会社の社長(髙嶋政宏)の御曹司だったという設定も、「有栖は運がいい」展開が待ち受けていることを容易に想像させてしまう。
有栖は瞳子にこれだけお世話になっていながら、タメ口で失礼な口をきく。そこは「シスターフッド」な関係性を築いたがゆえだとしても、有栖の友人までもが瞳子にタメ口なのはちょっと常識がない。全体的に常識人が有栖の父親くらいしか見当たらないのも、本作の“トンデモ”感を強めているだろう。第5話で有栖は無事に出産したが、今後、瞳子との関係性をどう描き、そこにどう説得力を持たせるのか。それによって作品の評価は変わりそうだが、はたして。
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