今年1月14日に、最愛の夫でマネジャーだったレネ・アンジェリルを、15年間のがん闘病の末に亡くしたセリーヌ・ディオン。レネの葬儀では、夫にそっくりな長男に支えられ、立っているのもやっとという憔悴しきった姿を見せていたセリーヌだが、2月末にはラスベガス定期公演に復帰。

5月にはABC局のニュース番組のインタビューに応じ、「夫が苦しんでいるのを見るのは、ものすごくつらかった」「私の腕の中で死にたいって言っていたのに、それはかなわなかった。でも、私の心の中で逝ったのよ」と激白。悲しみをこらえながら、「今は、物理的には一緒じゃないけど、心は彼と一緒」「少しずつ前に進んでいる」などと現在の心境を明かし、同情を集めた。

 そんなセリーヌが7月21日に、人気深夜トーク番組に出演。コメディアン相手の気楽な番組だからか、おばさんっぽい言動丸出しで、世間を戸惑わせている。

 セリーヌが出演したのは、コメディアンのジミー・ファロンが司会を務める深夜トーク番組『The Tonight Show』。
大勢のセレブが好んで出演している、人気番組である。ジミーから、「ラスベガス定期公演を始めたのは、2003年頃だっけ?」と聞かれたセリーヌは、「何年だったか覚えてないけど」と前置きした上で、「長男は今15歳半だけど、始めた頃は2歳にもなってなかったわね」と疲れた表情で回答。「もともと3週間のはずが、2年になり、5年の契約を結んでね」「彼らは、私のショーのためにコロシアムを造ってくれたんだけど。実は、プロジェクトが始まる前に、こう言われたの。“あぁ、またタイタニックが沈むな”って」と、ぶっちゃけ話を告白。「人が言うことなど気にせず、自分が信じることに集中しなきゃだめよね。
私はそうしたわ」と、苦労話を披露した。

 そして、「タイタニックといえば、前にも話したと思うけど。私、あまりテレビ出ないから……」と記憶が曖昧なことを弁解しつつ、「実はあの曲、やりたくなかったのよね」と暗い表情で告白。ジミーが、「えっ! あの名曲『My Heart Will Go On』を!?」と大げさに驚くと、セリーヌは「えぇ、ごめんなさいね」と再び能面顔に。ジミーが、セリーヌのマネをするようにフランス語なまりの英語で「信じられないよ~」と笑いながら言うと、セリーヌもフランス語なまりの英語で、「えぇ。でも周りの人たちが私の言うこと聞いてくれなくてよかったわ」と、おどけた表情で返した。


 ここまで、まったく笑顔を見せていないセリーヌに、ジミーは、「話は変わるけど、(歌手の)アリアナ・グランデがこの番組に出演してくれた時、あなたの歌マネをしたんですけど。ご覧になりましたか?」と質問。セリーヌは「オーマイ・ゴッド」と言いながら、自分の声にチューニングするアリアナのマネを披露。ちなみに、アリアナはザ・ウィークエンドの「Can’t Feel My Face」を歌うセリーヌのマネをしたのだが、セリーヌはメロディを知っていたものの歌詞を知らなかったようで、適当にハミングするという「おばさん的行動」を見せた。

 にこりともせず歌うセリーヌにジミーは大爆笑しながら、「で、似てると思った?」と質問。セリーヌは、「えぇ、素晴らしかったわ。
彼女のこと大好きだわ」と言いながら、手を低い位置に差し出し、「彼女の身長って、これくらいでしょ」とディス。「ちっちゃなクモさん~」という童謡まで歌いだし、ジミーは大慌て。これまた、「向かうところ敵なし」な、おばさんっぷりを見せた。ジミーは話を進めようとするのだが、セリーヌは「私が言いたいのは」と手を上げたり下げたりしながら「グランデなのに、トールじゃないっていう」と、スターバックスでいうところの中サイズ「グランデ」と同じ名前なのに、身長は低く小サイズの「トール」じゃないかと、しつこく語り続ける。ちなみにセリーヌは171cm、アリアナは155cm。確かに小さく感じるのだろうが、ここまでしつこくディスり続けたのは、自分のマネが気に食わなかったからなのかもしれない。


 ジミーは、暴走し続けるセリーヌを止めようと必死で、「あの、あなたにもぜひ、(アリアナも出演したモノマネコーナー)『Wheel of Music』に挑戦してもらいたくて」とオファー。しかし、セリーヌは、まさかの「ノー」と回答。「だって、彼女は」としつこくアリアナの話に戻そうとする。ジミーは手元の紙でテーブルを拭く仕草をしてごまかそうとするが、セリーヌはその紙を奪ってぐしゃぐしゃにしてしまい、ジミーは大慌て。ここで、初めてセリーヌは皮肉たっぷりな笑顔を見せた。

 ジミーは番組を進行させようと懸命になり、セリーヌは「私、モノマネタレントじゃないのよ」と嫌がるが、マイクを手渡されたセリーヌは両手でマイクをひしっと持ち、やる気まんまん。
「ボタンを押すと回転がスタートし、マネする歌手と、歌が決まります」と、いつものように視聴者に説明するジミーに、セリーヌは「説明する必要なんてないわよ」とおばさんのように乱暴な発言。嫌がっていたわりにはノリノリでボタンを押し、最初は歌手シェールのマネでフランス語の民謡「フレール・ジャック」に決まった。歌手と曲を見て、セリーヌは不機嫌になったが、番組のバンドが曲を演奏を始めると、すぐさまシェールのマネを披露。見事なフランス語に会場は大喜びし、セリーヌは嫌そうなそぶりを見せつつ、最後にはシェールの大ヒット曲「ビリーヴ」のサビまで歌ってみせた。

 いつまでも続けていそうな勢いのセリーヌを制するように、ジミーは自分の番だとボタンを押し、マイケル・ジャクソンのマネで、ドレイクの「One Dance」を歌うことが決定。ジミーの番だというのに、セリーヌはマイクを口元から離さず、マイケルのマネをしまくり。ジミーは「このおばさん、オレの番だってわかってるのかな?」と言わんばかりの不安そうな顔を見せる。負けじと、マイケルにチューニングしようとシャウトするジミーに、セリーヌは「あんた大丈夫?」とマイケルのマネでハッパをかけ、ジミーはさらに不安そうな表情を見せる。

 ジミーは振り切ってマネを始めるのだが、セリーヌは隙あらば入り込もうとマイクを握りしめたまんま。ジミーが歌い終わると「イェーイェー」とマイケルのモノマネを始め、「ボタン押して」と言われても、「ノーノー!」としつこくモノマネを続けた。

 やっとボタンを押したセリーヌが次にマネすることになったのは、リアーナ。曲は子ども向けの歌で「Row Your Boat」に決まり、セリーヌは頭痛薬の宣伝のように頭を押さえ、困ったとアピールをする。が、演奏が始まるとスッと立ち上がり、リアーナにはあまり似ていないものの、リアーナの「Work」のように顔をしかめて歌い、セクシーに身をくねらせ始めた。ミニドレスを着ているセリーヌが、しかめっ面で腰をクネクネし始めたため、ジミーは「ちょっとちょっと!」と大慌て。「子どもも見てるんですよ!」と必死で止めに入った。セリーヌは涼しい顔で、「あなたがマネしろって言ったんでしょう」と責任転嫁。ボタンを押そうとするジミーに構わず、これまたしつこく「Work Work Workでしょ」と暴走し続けた。

 次に、ジョニー・キャッシュのマネで、幼児向け番組『セサミストリート』に出てくるクッキーモンスターの「C is for Cookie」に決まったジミーは、「いいね~」と言うが、セリーヌが「C はセリーヌのCでしょ」と言いだし、予想外のことを言われたジミーは再び不安そうな表情に。なぜかヨーデルしたり、「なにその声、馬? ブヒヒン」と言うセリーヌを無視し、自分が与えられたマネをこなした。このジミーのマネがツボにはまったのか、セリーヌは歯を見せてながら笑いだし、ジミーはセリーヌが落ち着いている隙に「あなたのためにボタンを押して差し上げます」と、さっさとボタンを押す。こうして、セリーヌの最後は、髪の毛で顔を隠している個性的なシンガーソングライター、シーアのマネで、子守歌の「Hush,Little Baby」に決まった。

 セリーヌは、またもや不機嫌な顔で立ち上がり、「かつら用意すればよかったな~」と小道具を探すジミーからぬいぐるみを受け取り、顔を隠しながら、シーアのマネを開始。歌詞を覚えていなかったのか、横目でカンペを見ながらも歌い上げ、サビの部分は、シーアの「シャンデリア」風にシャウトした。ぬいぐるみを投げ捨て、長い髪の毛で顔を覆うというサービスをしたセリーヌに、ジミーは大喜び。シーアのように、前が見えなくてあたふたするセリーヌを指さし、ジミーは「みなさん、セリーヌ・ディオンでした~」とコーナーを終了させた。

 このコーナーの動画は、番組のYouTube公式チャンネルでも公開されており、すでに900万回以上再生。9万以上の「いいね!」を集めているものの、「よくない」も3,800を超えるという、微妙な反応となっている。5,500を超えるコメントには、彼女の歌唱力と気さくさを絶賛する声がたくさん書き込まれている一方、「セリーヌって、前からこんな変な人だっけ……」「こんなムカつくモノマネ、見たことない」「親戚の集まるクリスマス・ディナーに必ず1人はいる、暴走しまくるおばさんって感じ」と戸惑いの声も少なくない。また、「後姿は20代なのにね」「体だけ見ると26歳なのに」「愛する夫を看病して亡くして、こんなに老け込んでしまったのね」という感想も書き込まれている。

 おばさんみたいな振る舞いに「びっくり」という意見が飛び交い、ネット上で大きな話題となっているセリーヌ。その一方で、資産6億3,000万ドル(約670億円)という大金持ちでありながらも、年相応の老け顔で、年相応のおばさん根性を出す彼女に親しみが湧いたという声も多く上がっている。これを機に、もっとテレビに露出してほしいというファンの期待に、セリーヌは応えるのか。テレビ出演が増えた場合、共演者が大変な目に遭いそうだが……。