世界的に見て依然高水準の北朝鮮の結核患者数だが、治療は結核専門病院「第3予防院」で行われている。しかし、適切な薬がほぼ存在せず、多くの患者が同院への入院を避けているという。

米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道明澗の情報筋は、「結核患者は減るどころか増えており、治療薬がなく、(民間療法の)セリの搾り汁に頼るしかない」と証言。病棟では4人部屋に6~7人が生活し、やつれた患者がシラミを取る様子も見られたという。

親戚の治療について「薬がないため、家族がイソニアジド、マイシン、ストレプトマイシンを探し回っているが、入手はどんどん難しくなっている」と述べた。かつて供給されていた国連支援のDOTSセットも今はほとんど手に入らず、治療を受けられない患者が増えている。

別の情報筋も「薬がないかと聞かれることが非常に多く、実際入手は極めて困難」と証言。30代の青年が結核と診断されながら、セリ汁だけで治療され死亡した事例もあるという。

「検診だけの病院はあるが、薬がないため治療はできない。コロナ前に入っていた中国製の薬も途絶え、入手は非常に難しい」と述べた。

今では家族が患者を第3予防院に送ることすら避ける傾向にあり、「きちんと栄養を取っていれば結核にはかからないというが、多くの患者は生活が苦しい家庭の出身だ」と述べた。

また、「友人は中国にいる親戚に頼んで、兄のために6カ月分の結核薬を手に入れたが、最近の国境統制の強化で密輸が難しくなり、数カ月後に薬が尽きた後のことを心配している」とも話した。

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