北朝鮮が、「金正恩総書記の業績」として大々的に宣伝してきた平壌・松花通りのタワマン団地が、いまや深刻な「住宅差別」論争の渦中にある。この地域では、元から住んでいた多くの住民が優良物件の入居対象から除外され、「特権層の多い中心部住民のみ優遇される不平等な分配」に強い不満の声を上げている。

韓国・サンド研究所が運営するサンドタイムズが報じた。

松花通りは、松新1・2洞、松花1・2洞にまたがる大規模なニュータウンで、金正恩氏の指示により建設された。北朝鮮の国営メディアは「80階建ての超高層住宅を含む1万世帯の大建築群が誕生した」と喧伝している。

日本や韓国では、タワマンの高層階に入居するのはもっぱら富裕層だが、北朝鮮は事情が異なる。エレベーターが頻繁に止まるため不人気で、入居者は中心部の高位幹部ではなく周辺部の庶民が大半だ。最近では、外壁にひびが入るなどの事例も出ており、入居者は恐怖に震えているという。

特に冬季の生活は過酷で、水や燃料を運ぶ苦労に「地獄のようだ」との声もある。当局が一部時間帯にエレベーター用電力を供給してはいるものの、住民からは「平壌でも中心部の人間だけが優遇される」と冷ややかな反応が出ている。

一方、平壌市寺洞区域の松新2洞に住む住民は、長年住宅の割り当てを待っていたが、松花通りの完成後も入居対象から外された。「中心部の住民だけが入居できるなんて、それならハナから期待させるな。これでは労働党万歳など言えない」と、怒りを露わにしたという。

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