北朝鮮の首都・平壌では最近、違法な豊胸手術とそれに伴う医療事故が相次いでおり、当局が緊急の取り締まりを指示した。

平壌のデイリーNK情報筋によると、豊胸手術とその副作用による事故が急増していることを受け、社会安全省(警察庁)が今月13日午前、平壌市安全部(警視庁)に対して緊急の取り締まりを命じたという。

社会安全省は、「社会主義制度の下で女性たちがブルジョア思想に染まり、さまざまな怠惰な行為を行っている。これまで二重まぶた手術や眉毛のタトゥーなどの行為に寛容を示してきたが、今やさらに進んで、豊胸手術のような完全に腐りきった資本主義的行為までが一般化している」と指摘した。

特に中区域や普通江区域など、高位幹部やその家族が暮らす中心部では、20~30代の女性の間で“ボリュームのある体型”を求める傾向が強まっており、豊胸手術が一種のブームになっている。

夏のバカンスシーズンを前に、水着姿で自分の体型をアピールしたい女性たちの間で関心が高まっており、今年は例年以上に施術の需要が増加しているという。

しかし、こうした整形手術は「非社会主義行為」「資本主義的逸脱」と見なされ、正規の医療機関では施術を受けることができない。そのため一部の外科医たちは、中国から仕入れたシリコンを使い、自宅などでこっそり手術を行っている。だが、そうした環境では衛生管理が不十分であり、感染症などのリスクが極めて高い。

実際、今月上旬には普通江区域で30代前半の女性が2回にわたって豊胸手術を受けた後、深刻な副作用に見舞われるという事故が発生した。手術を行った医師は区域の安全部に逮捕されたが、取り調べの結果、彼は歯科医であり、外科手術の専門ではなかった。にもかかわらず、金儲けを目的に違法手術に手を染めていたという。

社会安全省はこのような状況を深刻に捉え、緊急指示を出した。平壌市安全部は「非社会主義行為の根絶」を掲げ、9月末までに集中的な取り締まりを実施するため、打撃隊(取り締まり班)を編成した。

取り締まりの方法としては、まず“患者になりすます”おとり捜査官を使って違法医療現場に潜入させるやり方がある。もう一つは、人民班長らと連携して街中を巡回し、胸の大きな女性を見つけて派出所や病院に連行、問診や身体検査を行い、手術の痕が見つかれば施術者を特定するというものだ。

情報筋によれば、すでに平壌市中心部では私服の打撃隊が展開され、取り締まりが始まっている。摘発された女性や医師は「非社会主義行為」の罪で、労働鍛錬刑(短期の懲役刑)などの刑罰を受ける可能性がある。

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