【その他の写真:マニラで撮影・2025年7月】
DLBインターナショナル社などの紹介所の窓には、巨大な求人広告が多数貼り出されている。サウジアラビア向けには「女性看護師(全分野)」や「介護士/パーソナルケアワーカー」のほか、「ブッチャー(肉屋)20人」「パン職人15人」「総菜販売員50人」など、具体的な職種と募集人数が明記されている。
また、300人もの「女性清掃員」の募集もあり、大人数の一括採用も進められているようだ。応募条件としては、「高校卒業以上」「年齢23歳~45歳(女性清掃員の場合)」「英語でのコミュニケーション能力」といったものが多く見られる。雇用条件には「2年間契約」「週6日勤務」「月8時間の残業代込み」などの記載があり、渡航費やビザ、健康診断などの初期費用は原則として「無料(NO PLACEMENT FEE)」と強調されている。これは、海外就労を志す貧困層にとって大きな負担となる費用を軽減する措置であり、政府の規制強化も背景にあるとみられる。
一方、別の「10TH STORY PLACEMENT AGENCY INC.」では、香港向けの「住み込み家事手伝い」の求人があり、月給4,870香港ドル(約9万8000円)という具体的な金額も提示されている。この職種も週1日の休みが保証され、費用はかからないとされている。
国内向けでは、「経理事務員」「オフィススタッフ」「福祉職員」などの募集も見られた。紹介所には連日、仕事を探す人々が詰めかけ、熱心に求人票を眺めたり、担当者と話したりする姿が見られる。サウジアラビアや香港といった国々は、フィリピンからの出稼ぎ労働者(OFW:Overseas Filipino Workers)にとって主要な就労先となっており、これらの求人広告は、国内に十分な雇用機会を見出せない多くのフィリピン人が、家族の生活を支えるため、海外での厳しい労働環境も厭わず職を求める現状を如実に物語っている。一部の広告には「BEWARE OF ONLINE SCAM! (オンライン詐欺に注意! )」といった警告も記されており、海外での仕事探しに潜む危険性も示唆している。
【編集:OM】