世界最大のブランドコンサルティング会社・インターブランドが毎年発表している「Japan’s Best Global Brands」ランキング。2017年版から、世界で活躍している日本企業のブランド力を見てみよう。

伸び率No.1はスバル
自動車勢の強さ際立つ

 日本が本格的な人口減少に突入する中、企業のグローバル展開は今や必要不可欠な経営課題。そして、ブランドとは、単なる企業イメージではなく、商品開発からサービス、販売の現場に至るまで企業が一丸となって顧客に訴求すべき重要なアイデンティティである。

 インターブランドは毎年、「Japan’s Best Global Brands」と名付けた、日本企業のグローバルにおけるブランド価値ランキングを発表している。今回発表された2017年版では、どんな企業がランクインされたのだろうか?

 対象となるのは日本のグローバルブランド(海外売上高比率30%以上)で、上場している企業。財務分析による現在の利益と将来予測、利益のうちブランドの貢献分がどれだけか、そしてブランドによる利益の将来の確実性の3点で評価をした。

 トヨタ(1位)、ホンダ(2位)、日産自動車(4位)とあるように、自動車メーカーの圧倒的な強さが見て取れる。一方、伸び率に注目すると成長率No.1はスバル(10位)の前年比28%だ。

 スバルは過去3年で3倍もブランド価値が伸びた。また、マツダ(13位)も、同じく過去3年で2倍以上の伸びだ。

 スバルとマツダはなぜこんなに伸びているのか。その理由を、並木将仁・インターブランド社長兼CEOは「自分の個性をしっかり見つけている点に尽きます。スバルは安心と愉しさを実現する運転支援システムとして『アイサイト』を展開し、モノづくりすべてにこの要素を入れています。

一方、マツダはデザインに力を入れ、“赤”にこだわっている」と指摘する。

従業員をファンにする
ヤクルトの強さ

 一方、日産はトップダウン戦略の成功例として見ることができる。カルロス・ゴーン社長兼CEOは最近、日経新聞の「私の履歴書」に登場。連載第22回目では「腰据えてブランド力磨く」と題し、トップ自らがブランドを重要視する姿勢を示した。

「電気自動車(EV)と自動運転に技術を集中させており、他社に先駆けた商品も出しています。『売れるクルマをとにかく出そう』というようなスタンスではブランドは育たない。日産は明確にターゲットを絞り、技術の強さというイメージを定着させています」(並木社長)

 自動車以外で並木社長が注目するのは、28位にランクインしたヤクルト。ブランド力強化というと、顧客を対象にした施策をイメージしがちだが、「インターナルブランディング」、つまり社員のロイヤリティ強化や“社内のファンづくり”も立派なブランド戦略の一環だ。ヤクルトは、これに成功している企業と言える。

 ヤクルトは世界各国の販売員が集う「ヤクルト世界大会」を開催するなど、販売員とのコミュニケーションを重視する会社だ。商品の良さを知り、商品を愛するマインドを持った販売員を育成することは、ブランド力強化に他ならない。「広告宣伝をすればブランドイメージが上がる、と考えるのは間違い。

提供する商品やサービス、そしてそれらを体験する販売店などの空間、さらに提供する人や伝え方など、企業活動のあらゆるシーンでブランドが体現されていることが重要なのです」(並木社長)。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)

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