銀行員はまだまだ年収が高い?
1位の三井住友トラストは1303万円

 地方の人口減少や低金利の長期化で、地方銀行が苦境にあえいでいる。厳しい経営環境を背景に、再編機運は高まりを見せている。

 9月には島根銀行、11月11日には福島銀行が、地銀との連携強化に乗り出しているSBIホールディングスの出資受け入れをそれぞれ表明した。生き残りを懸けた合従連衡の動きが加速している。

 一方で、地方において銀行員の年収は、まだまだ高水準を維持している。

 10月の「各都道府県で最も年収が高い会社リスト」で紹介したが、各都道府県の年収トップ企業のうち、最も多かった業種は銀行で、熊本や香川など14県に上った。

 そこで今回は、上場している銀行およびその持株会社を対象に「全国銀行員の平均年収ランキング」を作成した。本社所在地はダイヤモンド社企業情報部調べ。それでは早速、見ていこう。

 1位は、三井住友トラスト・ホールディングスで1303万円。2位は、三井住友フィナンシャルグループで1155万円だ。

 以下、3位の第四北越フィナンシャルグループ(傘下に新潟県トップの第四銀行と同2位の北越銀行、2021年1月に両行は合併予定)から、10位の東京きらぼしフィナンシャルグループ(傘下に東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京の3行合併で誕生したきらぼし銀行)までが年収1000万円超だった。

持ち株会社と事業会社としての銀行
区別して年収の実態をつかもう

 ここで注目したいのは、社名の中にあるフィナンシャルグループ(FG)とホールディングス(HD)という言葉だ。FGは銀行持ち株会社、HDは持ち株会社を意味する。

どちらも銀行を含めた傘下のグループ会社を統括する役割を担う。

 単体と、グループ会社も含めた連結の従業員数を比較してみよう。上位10社の単体÷連結の人数の比率を見ると、最も大きい7位の三菱UFJフィナンシャル・グループ(年収は1067万円)でも2.0%と低い。

 当然、少数のエリート行員で構成されることが多く、事業会社としての銀行に比べて年収は高くなりがちである。

 ランキングを見ていくと、1位から17位の関西みらいフィナンシャルグループ(大阪府。年収は820万円。傘下に関西みらい銀行とみなと銀行)までが持ち株会社となっている。

 その意味では、18位のあおぞら銀行(803万円)、20位の新生銀行(767万円)、21位の静岡銀行(746万円)といった顔触れこそが、事業会社としての銀行に勤める一般行員として、トップクラスの年収をもらえているといえる。

スルガ銀行は前期比71万円減!
大株主にノジマ浮上でさらなる減額も

 22位はスルガ銀行(静岡県)で、年収は729万円。投資用不動産向け融資の不正で経営難に陥っている割に、高い水準を保っているように思えるが、実は前期比で71万円も減っている。

 10月には創業家の保有株(13%強)を、家電量販大手のノジマ(ちなみに平均年収は436万円)が取得するとの発表があった。保有比率は18%強になる。

 再建途上にあるスルガ銀行の行員は、さらなる年収の減額を迫られそうだ。

 平均年収が低い銀行も見ていこう。

 83位の鳥取銀行は486万円。84位の福島銀行は469万円で、SBIが約11億円の出資に応じ、株式の17.85%を保有する筆頭株主となる。

 85位の大東銀行(福島県)は462万円。86位の豊和銀行(大分県)は459万円だ。

 最下位(87位)の島根銀行は448万円だった。SBIはグループで、同行に34%を出資する。

 ちなみに銀行員の年収下位5行は、9月の「地銀余命ワーストランキング」において、余命5年未満のワースト17に入っている(18位の栃木銀行は、5年後のコア業務純益が95%の減益率)。

 同ランキングにおいて、鳥取銀行はワースト8で余命3年2ヵ月。福島銀行はワースト3で1年6ヵ月。大東銀行はワースト13で4年1ヵ月。

豊和銀行はワースト6で2年11ヵ月。島根銀行はワースト1で余命0年という結果だった。

 年収下位の銀行は、単独で生き残りを図るのは難しく、これからも年収の低迷が続きそうだ。

(ダイヤモンド編集部 清水理裕)

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