今週の日経平均株価は、新型コロナ治療薬への期待から、
一時は2万3000円に迫る勢いで上昇!

 今週(7月13日~17日)の日経平均株価は上昇。新型コロナウイルス向けの治療薬・ワクチンへの期待が相場の押し上げ要因になりました。

 先週末の7月10日、米国のギリアド・サイエンシズ(GILD)の「レムデシビル」の開発状況について良好な結果が伝えられたほか、15日には、モデルナ(MRNA)が開発するワクチンの初期段階における安全性試験で、患者全員が抗体を獲得したと報じられました。これにより新型コロナウイルスの抑え込みへの期待感が高まり、日経平均株価は上値抵抗線となっていた2万2700円を突破し、一時は2万3000円に迫る場面も見られました。
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 しかし週の後半に入ると、都内の新型コロナウイルス感染者数の増加が続いていることに加え、7月に入って好調だった中国市場の上昇がひと段落し、さらに、これまで相場のけん引役だったハイテク株に利益確定の動きが見られたことから、日経平均株価は小幅に下落して膠着感の強い相場展開となりました。

来週の日経平均株価は、米国の決算発表に影響される展開に!
経済正常化への期待感から「バリュー株」の見直しも進む見通し【来週の日経平均株価の想定レンジ】
 2万2600円 ~ 2万3100円


 来週(7月20日~22日)の日経平均株価は、新型コロナウイルスに関連した報道に影響を受ける相場展開になりそうです。

 また、来週は米国で決算発表が本格化して、マイクロソフト(MSFT)アマゾン・ドット・コム(AMZN)インテル(INTC)テスラ(TSLA)などの有名企業が決算を発表します。国内では木曜日からの4連休を控えているため積極的な売買が手控えられながらも、米国の決算発表の影響を受けやすいでしょう。ハイテク比率の高いナスダック総合株価指数が、利益確定の売りで「調整」していることもあり、決算発表の影響で米国市場が不安定な相場展開になる場合、日経平均株価も利益確定により下落する流れとなりそうです。

 なお、最近はグロース株の物色が続いている中で相対的にバリュー株の出遅れ感が高まっていましたが、今週に入ってバリュー株への資金流入が目立ちました。今後、新型コロナウイルス治療薬の開発に進展が見られるようだと、経済正常化への期待感からバリュー株を見直す流れがますます強まることが期待できます。

【今週の値上がり率・値下がり率・出来高ランキング】
ダントーホールディングスが+132.18%で値上がり率トップ!

 ここからは、今週、値動きが目立った個別銘柄を見ていきましょう。

 今週の値上がり率ランキング1位は、ダントーホールディングス(5337)。米国の子会社を通じて、現地の住宅金融会社SRE Mortgage社の第三者割当増資を引き受けて子会社化するとの発表が材料視されました。

株価が100円を下回っての推移が続いていたこともあり、個人投資家の資金が集中し、ストップ高を交えての上昇となりました。

 値上がり率2位のロコンド(3558)は、未定としていた2021年2月期の業績予想を発表し、今期は営業黒字見込みだったことが好感されました。7月に入って株価が低迷していたこともあり、個人投資家主体の資金が流入して、連日のストップ高により一気に上場来高値(分割修正済)を更新しました。

 値上がり率3位はハイアス・アンド・カンパニー(6192)でした。東証が7月14日、ハイアス・アンド・カンパニーに対して7月21日付のマザーズ市場から東証1部への市場変更を承認すると発表。1部昇格によって、TOPIX連動型ファンドなどによる買い需要を期待した先回り的な回が集まりました。

 一方、今週の値下がり率ランキングのトップはAiming(3911)でした。7月16日にスマートフォン向けゲーム「ドラゴンクエストタクト」の正式サービスを開始しましたが、それにより材料出尽くしとの見方が広まり、ストップ安を交えての下落となりました。

 値下がり率2位のBranding Engineer(7352)は、先週7月7日、マザーズ市場にIPO(新規上場)しましたが、初値で公開価格の6.0倍となる2920円まで高騰し、翌日には4045円まで急伸しました。しかし、短期的な値幅取り狙いの資金が中心だったせいか、今週は一転して利益確定の売りが強まりました。

■今週の値上がり率 トップ5順位先週末比(%)銘柄名(市場・コード)※クリックで最新株価・チャートへ1+132.18ダントーホールディングス(東1・5337)2+63.76ロコンド(マザ・3558)3+49.14ハイアス・アンド・カンパニー(マザ・6192)4+47.92不二精機(JQ・6400)5+47.54インターライフホールディングス(JQ・1418)■今週の値下がり率 ワースト5順位先週末比(%)銘柄名(市場・コード)※クリックで最新株価・チャートへ1−35.32Aiming(マザ・3911)2−32.13Branding Engineer(マザ・7352)3−31.58ニイタカ(東1・4465)4−29.90Spee(JQ・4499)5−28.10フルッタフルッタ(マザ・2586)■今週の出来高 トップ5順位出来高(株)銘柄名(市場・コード)※クリックで最新株価・チャートへ1415,578,000みずほフィナンシャルグループ(東1・8411)2270,429,300三菱UFJフィナンシャル・グループ(東1・8306)3191,719,700音通(東2・7647)4176,432,200日産自動車(東1・7201)5159,510,100メディネット(マザ・2370)【来週の主要イベント】
「アマゾン・ドット・コム」や「マイクロソフト」など
主要な米国企業の決算発表に注目!

<7月20日(月)>
◆日銀金融政策決定会合議事要旨
◆6月貿易統計
◆独6月生産者物価指数(PPI)
◆欧5月経常収支
◆決算発表:IBM(IBM)

<7月21日(火)>
◆6月全国消費者物価指数(CPI)
◆決算発表:ディスコ(6146)日本電産(6594)富士通ゼネラル(6755)
◆豪準備銀行(中央銀行)、金融政策会合議事要旨公表
◆香6月消費者物価指数(CPI)
◆決算発表:ロッキード・マーチン(LMT)テラダイン(TER)

<7月22日(水)>
◆決算発表:オービック(4684)サイバーエージェント(4751)日本航空電子工業(6807)
◆「Go To Travel キャンペーン」開始
◆南ア4月小売売上高
◆米5月住宅価格指数
◆米6月中古住宅販売件数
◆決算発表:バイオジェン(BIIB)マイクロソフト(MSFT)テスラ(TSLA)

<7月23日(木)>
◆南アフリカ準備銀行(中央銀行)政策金利
◆独8月GFK消費者信頼感調査
◆トルコ中銀、政策金利
◆米6月景気先行指標総合指数
◆決算発表:アマゾン・ドット・コム(AMZN)ブラックストーン・グループ(BX)インテル(INTC)T-モバイル・US(TMUS)ツイッター(TWTR)

<7月24日(金)>
◆英6月小売売上高
◆独7月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
◆独7月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値
◆ロシア中銀政策金利
◆米7月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
◆米7月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値
◆米6月新築住宅販売件数
◆決算発表:アメリカン・エキスプレス(AXP)

【来週の注目銘柄】
「ロジネットジャパン」「ソウルドアウト」「ユーザーローカル」
の3銘柄をピックアップ!

 来週、注目したい銘柄は、この3つです。

ロジネットジャパン(2020年7月17日時点)業種市場・コード株価予想PER実績PBR陸運業札・90272925円10.09倍1.30倍地域に合わせた総合物流サービスを展開
「札幌通運グループ」と「ロジネットジャパン東日本グループ」「ロジネットジャパン西日本グループ」を基盤とした総合物流会社。
アマゾンの「デリバリープロバイダ」としてアマゾン向けの配送事業が好調です。また、JR貨物とタイアップした長距離幹線輸送サービス「R&R(ロード&レール)」を独自開発して物流の効率化を実現したことが、会社全体の成長に大きく寄与しています。コロナ禍において、物流企業は重要な役割を担うことになるであろうことも注目要因です。札証上場のため見逃しやすい銘柄ですが、他の物流会社と比較すると割安感があります。株価は足元でレンジ相場の上限を捉えており、ここからの値上がりに期待できます。ソウルドアウト(2020年7月17日時点)業種市場・コード株価予想PER実績PBRサービス業東1・65532343円−倍8.12倍改革が遅れている中小企業のデジタルシフトを支援
中小・ベンチャー企業向けに、デジタルマーケティング支援事業を展開しています。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに企業のデジタル化が加速していますが、大手企業においてテレワーク化などのデジタルシフトが加速する一方で、多くの中小企業では改革が遅れています。そのため、中小企業のデジタルシフトの支援事業は今後の需要拡大が期待できます。株価は、7月6日の高値2795円をピークに一時的な調整を見せており、75日移動平均線を下値支持線とした押し目を狙いたいところです。ユーザーローカル(2020年7月17日時点)業種市場・コード株価予想PER実績PBR情報・通信東1・39843700円73.57倍7.47倍AIを活用した分析ツールの需要拡大に期待
ビッグデータとAI技術を駆使したサービスを手掛けており、SNS解析や自然言語に特化したAIを活用したサポートチャットボットなどを展開しています。最近では、オンライン授業を受ける生徒の集中度合いを測定するAIを開発しています。さらに、企業のデジタルマーケティングを支援する各種データ分析ツールは、さまざまな企業で導入が進んでいます。
株価は、3月23日につけた安値1807円を底値に、上昇する25日移動平均線を下値支持線とした強い上昇トレンドが継続しています。直近では利益確定の動きも出てきているため、25日移動平均線での押し目を狙いたいところです。

【※今週のピックアップ記事!】
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