今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された平均年収のデータを使って、「九州・沖縄地方で年収が低い企業ランキング」を作成した。

 なお、このランキングでは、九州・沖縄地方(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の8県)に本社を置く上場企業を対象とした。

本社所在地はダイヤモンド社企業情報部調べ。単体の従業員数が20人未満の企業は除外している。対象期間は、2019年6月期~20年5月期。

 早速、ランキングを確認していこう。

1位は年収266万円!
鹿児島県のアクシーズ

 まず、5位以内の企業を見てみよう。

 1位となったのは、鹿児島県のアクシーズで、年収は266万円。鶏肉や鶏肉加工食品の製造販売のほか、日本ケンタッキー・フライド・チキンと日本ピザハットのフランチャイズ店舗の経営も行っている。

 2位は福岡県の井筒屋で、年収307万円。北九州市の地元では有名な老舗の百貨店。

 3位も福岡県のアイフリークモバイルで、年収319万円。携帯電話やスマートフォン向けのコンテンツの企画開発・配信などの事業を行っている。

 4位も福岡県のきょくとうで、年収339万円。

ホームクリーニング専業で、九州地区のほか、中国地区、関西地区、関東地区にも展開している。

 5位は大分県のアメイズで、年収364万円。ホテルとそれに付帯するレストランを運営、九州を中心に「HOTEL AZ」を展開している。

 10位以内の企業の本社所在地をみると、鹿児島県の会社が2社、大分県が1社、残り7社は福岡県の会社となっている。

年収450万円未満の28社のうち
サービスが9社、小売業が5社

 業種を見ると、水産・農林業、サービス、小売業と「労働集約型の産業」が目につく。

 今回、10位以内を含め、年収450万円未満の28社・業種を見ても、サービスが9社、小売業が5社と労働集約型産業が、比較的多数を占めている。ちなみに、平均年収はサービス9社が394万円、小売業5社が387万円だった。

 日本は欧米の同業と比べて生産性が低いとされている。今回の結果もそれを反映するものとなった。

 年収450万円未満の28社を県別で見ると、福岡県21社、鹿児島県4社、大分県2社、宮崎県1社となっている。福岡県が多いのは、単純に上場企業数が多いからで、沖縄県などが入っていないのは、上場企業数が少ないからである。

 平均年収は従業員の平均年齢や平均勤続年数よっても、影響を受ける。

 3位のアイフリークモバイルの平均年齢は28歳と若く、平均勤続年数は1.3年と短い。7位のホープも平均年齢29.2歳、平均勤続年数は2.8年である。

 そもそもサービス業や小売業の年収が比較的低いのも、他の業種より、若い従業員が多いというのも一因だろう。

宮崎県のWASHハウスは
年収393万円

 トップ10には入らなかったが、福岡県、鹿児島県、大分県を除く、各県で最も年収が低い上位の企業も見ていこう。

 宮崎県はWASHハウス(13位)で、年収393万円。コインランドリー店舗の企画開発と運営事業のほか、資金融資を行うファイナンス事業も行っている。

 熊本県はヤマックス(29位)で、年収451万円。土木用コンクリート2次製品(道路用製品、景観用製品など)や、建築用コンクリート2次製品(PCカーテンウォール、住宅用PC板など)の製造・販売などを行っている。

 沖縄県はサンエー(42位)で、年収482万円。地元でスーパーなどの小売店舗や外食レストランを運営している。

 長崎は上場企業がなく、佐賀県は50位以内にランキング入りする企業はなかった。

アイフリークモバイルの年収は
前年度比14.7%減

 ちなみに、年収450万円未満の企業で、前年に比べて減少幅が2ケタ以上の企業は、2社だった。

 3位のアイフリークモバイル(福岡県、年収319万円、前年度比14.7%減)のほか、9位のグリーンクロス(福岡県、年収378万円、前年度比14.0%減)。グリーンクロスは、安全機材用品の販売やレンタルを行っている。

(ダイヤモンド編集部 山本猛嗣)

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