ワーストランキングを作成
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行して約1年。厳しい暑さが続く中で、海水浴シーズンを迎えた。
環境省は毎年、全国の海水浴場(一部、湖沼や河川の水浴場も含む。以下、海水浴場と表記する)の水質調査を取りまとめてきた(2020年、21年はコロナ禍で水質調査結果の取り扱いが異なることなどを理由に中止)。そこでダイヤモンド編集部では同データを基に「水が汚い海水浴場ランキング」を作成した。
対象となったのは水質格付けが低い「B」「A」の海水浴場で計329カ所。
水質の判定基準は4つある。水の汚れを示す化学的酸素要求量(COD)、ふん便性大腸菌群数、透明度、油膜の有無だ。それぞれ、適(AA、A)、可(B、C)、不適の5種類で格付けされている。
4つのうち1つでもAの基準をクリアできなければ、その海水浴場は、他の判定基準がどれだけ良くてもB以下に落とされる。仮にCODが同じ値でも、AとBでは水質が異なるわけだ。
2024年の水質調査では、「不適」の海水浴場はなかった。そこでダイヤモンド編集部の水が汚い海水浴場ランキングは、1~3位は水質Cの3カ所をCODの多い順に並べ、4~145位は水質Bの143カ所をCODの多い順に並べ、147~329位は水質Aの184カ所をCODの多さで同様に並べて作成。なお、ランキング中のCODは複数回測定の平均値である。
少し専門的な話になってしまうが、CODについても説明したい。CODは、海水に含まれる有機物を酸化剤で酸化するときに、消費される酸化剤の量を酸素の量に換算したものだ。
CODが高いほど、水中に存在する有機物の量が多いことを意味し、有機物による水質汚濁の程度が大きいことになるのである。
前述の通り、ランキングの中には一部、川、湖沼の水浴場も含まれているので、海のない自治体に住む人もぜひチェックしてみてほしい。
さっそくランキング結果を見ていこう。
1~3位は青森県の小川原湖畔の水浴場
1位となったのは青森県東北町の小川原湖公園で、CODは5.7mg/リットルだった。23年版ランキングでは3位(CODは4.6mg/リットル)だったが、ついにトップとなった。
また、2位は青森県三沢市の小川原湖(CODは5.6mg/リットル)、3位は青森県東北町のわかさぎ公園(CODは5.3mg/リットル)で、1~3位はすべて小川原湖畔の水浴場となった。
小川原湖は全国の湖で11番目に面積が広い、海水と淡水が入り混じる汽水湖である。湖なので、海に比べて水がたまることも影響していそうだ。
4位となったのは千葉県千葉市のいなげの浜で、CODは4.9mg/リットルだった。
いなげの浜は、東京湾沿岸に位置する長さ約3キロ、面積約83ヘクタールの総合公園・稲毛海浜公園にある日本初の人工海浜。
上位に複数ランクイン
5位は山口県山陽小野田市のきららビーチ焼野と、北海道石狩市の厚田海浜プールで、CODは4.6mg/リットルだった。
きららビーチ焼野は、「焼野海岸CCZ整備事業」のひとつとして整備され、「日本の夕陽100選」にも選ばれた海水浴場。厚田海浜プールは厚田漁港に隣接している、遠浅の砂浜で、消波ブロックに囲まれた波の穏やかな海水浴場だ。
7位は厚田海浜プールと同じく北海道石狩市にあるジェットビーチ石狩で、CODは4.5mg/リットルだった。石狩市を流れる望来(もうらい)川の南側に隣接した海水浴場だ。
8位は北海道羽幌町のはぼろサンセットビーチで、CODは4.4mg/リットルだった。リゾート気分を演出するためヤシの木型の照明を設置しており、きれいな夕日が眺められるのを売りにしているビーチだ。
ちなみに、22年版の「透明度」が低い海水浴場ランキングでは1位だった(23年版ランキングでは5位)。
また、9位は愛知県蒲郡市の西浦温泉で、CODは4.2mg/リットル。10位は北海道北斗市の七重浜で、CODは4.1mg/リットルだった。
トップ10の内訳を見ると、北海道(4カ所)と青森県(3カ所)だけで7カ所を占める結果となった。
なお、ランキングは川、湖沼の水浴場も対象としている。長野県や滋賀県など海のない自治体に住む人も、ぜひチェックしてみてほしい。
また、調査時の天候や、波の状況などが結果を左右することもあるため、前年の格付けも併せて確認すると良いだろう。
新型コロナウイルスの感染が拡大し、流行「第11波」の懸念が高まっている。海水浴場に多くの人が訪れる中、感染対策に十分気を付けて、楽しんでいただきたい。
(ダイヤモンド編集部 松本裕樹、清水理裕)