モチベーションを高める上でおすすめの方法があります。それは、自分で自分を褒めることです。
褒められた方は覚えている
人は、褒められるとうれしくなります。
誰かに褒めてもらった。ただそれだけのことで、もっと頑張ろうという気持ちになります。
しかしながら、そうそう都合よく褒めてもらえるものでもありません。
また、こちらから「褒めてください!」とアピールするのも、難しいですよね。
そうしたときにおすすめしたいのが、「自分で自分を褒める」ことです。
褒めるという行為は、人間関係をうまく構築していくために重要かつ有効なツールです。
誰かを褒めると、褒められた人は、とてもうれしい気持ちになると同時に、「褒めてくれた人」に対して好感を持ちます。この人は、自分のことをよく理解してくれている。自分のことを評価してくれている。
「言った方は忘れるが、言われた方は覚えている」という格言があります。悪口に関して使われることが多いかもしれませんが、褒める・褒められるに関しても、同じことが言えます。
誰かに褒められたり感謝されたりすることで自己肯定感が上がり、その瞬間だけでなく、継続的に前向きな気持ちで物事に取り組めるようになっていくのです。
その一方で、誰かに褒めてほしい、という気持ちを持ち続けるのも不健全です。高すぎる承認欲求は、ときとしてネガティブな感情につながります。「褒めてほしい」気持ちが高まりすぎると、「なぜ、誰も褒めてくれないんだ」という方向にいってしまうわけです。
そのような状況を回避するための手段が、「自分で自分を褒める」なのです。
自分の褒め方のコツ日々の業務は「ちょい甘」でOK!
そもそも、人に何かを期待しても、その通りにはいかないものです。その点、自分のことは、自分自身で完璧にコントロールすることができます。人に褒めてもらおうとして褒められないことに失望するよりも、頑張った自分、何かをやり切った自分のことを自分自身で高く評価してあげましょう。あなたの頑張りを、一番近くで見ていたあなた自身が褒めてあげるわけです。
以前、モチベーションは自分で管理するべきだ、という話をしました(『「部下がすぐ辞める上司」と「ギリ踏みとどまる上司」の決定的な違い』参照)。
他人から褒められたかどうかでモチベーションが上がったり下がったりするのは、「モチベーション管理を他者に依存する」ことに他なりません。そうではなく、自分が自分自身の行動を正しく評価し、適切に褒めることができれば、「モチベーション管理を自らの手の中に取り戻す」ことができます。
では、自分をどうやって褒めるか。
当然ながら、なんでもかんでも褒めればいいわけではありません。しっかりと自分の仕事ぶりを振り返り、反省すべきところは反省しましょう。
プロフェッショナルとして成長していきたいのであれば、「自分が、自分にとって、最も厳しいレビュアー」であるべきです。
とはいえ、日々の業務においては「ちょっと甘いかな」くらいでも大丈夫。「100点は取れなかったけど、80点取れたのは頑張った方だよ」「突然の依頼で、時間がない中で良くやった」「初めて取り組んだ割には、大きなミスもなく終えたのは立派だ」のように、良い部分に焦点を当てて褒めることで、自らのモチベーションを上げていくと良いでしょう。
いいね!と思ったらその場で褒める!
そうして自分のことを評価し、適切に褒められるようになったら、ぜひトライしていただきたいのが、「周りの人のことも、積極的に褒めること」です。
あなた自身が褒められるとうれしく感じるのと同様に、周囲の人たちも、褒められるとポジティブな気持ちになります。そして、その気持ちは一過性に終わらず、継続的にモチベーション高く仕事に取り組んでくれるようになります。
また、中堅層に対しては、その人個人の行動を褒めるとともに、部下や同僚を積極的に褒めるように指導しましょう。
言うまでもなく、(自分自身に対してもそうであったように)全ての行動を全肯定して褒める必要はありません。しっかりと評価して、良いなと思ったポイントを見つけたら、必ず褒めるようにします。
私の経験上、「良いなと思ったポイントを探す」ことも忘れられがちですが、それよりも「必ず褒める」がおろそかになる傾向があるように感じています。
「ちょっとバタついているから、後で褒めよう」とか「些細なポイントだから、他のトピックとまとめて話そう」というふうにすると、まず間違いなく忘れます。
どれだけバタバタしていても、「それ、いいね。さすが。」とか、「詳しい話はあとでするけど、そのポイント最高。その調子でお願い。」といった感じで、サクッと褒めておくことをお勧めします。
また、忘れる前に、チャットツール、メッセージングアプリ、メールなどを使って「イケてる!」という気持ちだけでも伝えましょう。チャットツールやメッセージングアプリであれば、それに相当するスタンプなどを用いても良いと思います。いずれにしても「気軽に褒める」ことを意識していくわけです。
組織内に積極的に褒める文化、相互に褒め合う文化ができれば、チーム全体の雰囲気も良くなります。