
初日からのタナックの独走は、結局誰も止められることはできなかった。SS1でトップタイムをマークし、SS5に総合首位へ返り咲くと、その後は一度も首位を明け渡すことなくフィニッシュ。自身の今シーズン2勝目を飾ると同時に、前回開催の19年に続く2度目のラリー・チリ ウイナーとなった。総合2位は、ヒョンデのティエリー・ヌービル。3位にはTGRのエルフィン・エヴァンスが入った。

●タナックが今季2勝目をあげる
TGR勢は、土曜日朝のタイヤチョイスに失敗し3台ともに大きくタイムロス。勝田貴元の話によれば「チームが予測していた状況よりもだいぶ悪い路面コンディションでした。ソフトタイヤを選択したのは気温の低さも考慮した結果だったのですが、路面があまりに攻撃的すぎてSS1本走った時点でほぼタイヤは終わっていました」と劣悪のコンディションだったようだ。
結局カッレ・ロバンペラが総合4位、勝田は続く5位でフィニッシュした。エヴァンスとロバンペラは、最終のパワーステージでも1、2位に入ったためポイントをプラス。

●ラトバラ監督(左から3人目)とTGRのクルー総出のポディウム
以下はラリー後のヤリ-マティ・ラトバラTGR監督のコメント(リリース全文)。
「このラリーを、このような形で終えることができて嬉しく思います。土曜日は本当に厳しい一日でしたし、今朝は表彰台に上がることは難しいかもしれないと思うなど、決して簡単ではない週末でした。しかし、ラリーでは常にサプライズが起こり得るので、忍耐強く最後まで走り続ける必要があることが改めて証明されました。シーズン中、チームと選手たちが頑張ってくれたことを本当に誇りに思います。シーズン終了まで2戦を残してのマニュファクチャラーズタイトル獲得は、TGR-WRTとしてはもっとも早い記録です。競争は激しく、クルマのパフォーマンスは接近していますが、信頼性を高め、今回のようにクルマを最後まで問題なく走らせたことで差をつけることができたのだと思います。今は、ドライバーズタイトルとコ・ドライバーズタイトルを争う2クルーのうち、どちらが残り2戦で成功を手にするのか楽しみでなりません。」
ラトバラ監督のコメントにもあるように、ドライバーズ、コ・ドライバーズの両タイトルはまだこの先の2戦で決まる。次戦は初開催となるセントラルヨーロッパ・ラリー(10月26~29日)、そして最終戦はラリー・ジャパン(11月16~19日)だ。
<写真=Redbull 文=青山朋弘>