“シルク(絹)”といえば、蚕の繭からつくる美しい繊維。実は食べることもできるって、知ってました?

といっても、もちろん生地をそのまま食べるわけではない。
「食べる絹―シルクパウダー入り」と書かれたクッキーがあるのだ。群馬県の富岡製糸場内の売店で販売している『製糸場クッキー』だ。

製造している有限会社田島屋によると、
「“シルクの生地が食べられるの?”と驚かれるお客様も多くいらっしゃいますが、シルクパウダーは、蚕の繭をそのまま粉末にしたものです」
成分であるセリシンには約18種類ものアミノ酸が含まれており、
「上質のアミノ酸を効率よく吸収できると、健康面でも注目されています」
パウダー状なので小腸での吸収もよいのだという。

クッキーは昔からすべて手作り。食べてみると、しっとりした独特の食感と、どこか懐かしさも感じる優しい味わいに心が和む。
「なめらかでしっとりした味わい、そして健康面でも注目されているシルク入りということで、年齢・性別を問わずにご好評をいただいております」
地元の人や観光客からも、富岡らしいお土産として人気を集め、平成14年には群馬県優良県産品にも認定されている。


『製糸場クッキー』はもともと、平成13年に「絹(シルク)クッキー」として発売されたもの。その後、「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界遺産登録を目指すことを機に、平成18年に名称を変更。パッケージも富岡製糸場モチーフのデザインにした。「富岡製糸場をより多くの人に知ってもらいたい」「世界遺産運動を通してさらなる地元の活性化を図りたい」という社長の強い思いがあったという。

商品は富岡製糸場のほか、田島屋本店や田島屋西銀座店で発売している。クッキーは「シルクパウダー入り」と「桑の葉入り」の2種類。
桑の葉は蚕の食べ物として知られているが、高血圧・糖尿病・滋養強壮などにも効果があるといわれる。

また現在、富岡市では上州富岡産の繭から食べ物を作るプロジェクトが、東京農業大学長島研究室の協力により立ち上がっているそうで、
「当店でも、上州富岡産の繭からつくるシルクタンパク(液)入りの“製糸場クッキー”を目下開発中です」
とのこと。シルクタンパク(液)とは絹糸の主成分を水に溶ける性質にしたもので、食物として摂取すると血糖値やコレステロール値を下げる効果も期待されているのだとか。

世界遺産への登録の動きとともに、『製糸場クッキー』の今後にも注目です。
(古屋江美子)

「上州富岡和菓子処 田島屋」*群馬なびるんサイト内