登録名を戸籍と同じ「クルム伊達公子」に変更し、磨きをかけたライジングショットで観客を沸かせている。
ところで、そんな選手としての存在感もさることながら、同じく存在が際立っているのが名前。一日一度は声に出したい、クルム伊達公子。その響きの違和感が妙に心地いい。
日本人同士の結婚では、夫か妻のどちらかの姓(氏)を名乗ることが法律で決められている。それが国際結婚だと、申請しない限りお互いの姓はそのまま、夫婦別姓になる。
じゃあ、「クルム伊達」的な苗字を手に入れるにはどうしたらいいんだろう。法務省に話を伺った。
「そうした苗字は“複合氏”、一般的には“複合姓”などと呼ばれていまして、特別な申請が必要になります。通称で名乗るのは自由ですが、戸籍も変えたいようでしたら、役所ではなく家庭裁判所に申し立てる必要があります。ただし実際には認められない場合も多いようです。苗字を変えないと何らかの不都合が生じてしまうなどの、正当な理由が必要になります」
“何らかの不都合”っていうのは、例えば相手の国で複合姓が認められていて、複合姓に合わせないとややこしいっていう場合。他には、通称として名乗っている複合姓が周りに浸透している場合など、理由はさまざま。
ちなみにその子供はどうなるかっていうと、日本人側の苗字を名乗ることになる。つまり日本人側の親がクルム伊達的な苗字なら、子供もクルム伊達的な苗字。
と、ここで疑問。じゃあもし、複合姓の子供が国際結婚をして、また相手の姓との複合姓を名乗りたい、例えば「クルム伊達スミス」的な苗字にしたいって言ったら可能なんだろうか?
「家庭裁判所に申し立てること自体は可能ですが……。あとは家庭裁判所の判断となります」
複雑になったら、なかなか認められないだろうなあ。
手に入れるのは簡単じゃない、クルム伊達的な苗字。
戸籍は変えられなくても、通称として「クリス松村」的に名乗ることは自由なので、それで満足するのもひとつの手です。
(イチカワ)