また、エンターティメントの多様化、電子書籍などの台頭による売り上げ低下という問題もある。それなのに、書泉さんのバッグは、材質やデザインの面で、製造コストがかかるのだそうだ。この問題については、多色刷りをやめて、単色刷りデザインにシフトしたという。しかし、しっかりした素材のバッグを作るにも、石油系素材は去年1年だけで10%も値上がりしている。
その上、「書泉のビニールバッグのリサイクル料金は当社が負担するのですが、重い素材だと料金がそれだけかかるんです」
あの素敵なビニールバッグの裏には、見えない負担もあったのだ。
それに、環境問題を考えると、いい素材のビニールバッグを買い物客に配るのはエコじゃないと考える方もいらっしゃるだろうしなあ。
今回導入されたサイドシールバッグは、製造費も、リサイクル料金も安く抑えられる。だが、袋の中身が透けてしまうのが難点。利用客のプライバシーを考え、もう少し透け難い素材に切り替える予定とか。
取材に伺った9月末の時点では、小型書籍用と、雑誌などの大判サイズ用のサイドシールバッグ2種の他に、従来通りのしっかりした素材のバッグ4種が存在するとわかった。
お話を伺ってみてびっくりしたのは、バッグに関しては、利用者の声が書泉さんに届いていない様子だったこと。私自身、今回のことが無ければ、ひっそりバッグを集め続けているだけで終わったに違いない。なんとか、この書泉さんの持ちやすいバッグが存続するといいと思うのってワガママ?
(いぬい亨)