近頃、充電式電池(ニッケル水素電池)のCMをよく見かけるようになった。
「使わなくても減っちゃうから、ちょくちょく充電しなきゃならない」「充電する前に一度使い切らなくちゃダメ」というのが、これまでの充電式電池の評判。
が、近年この2点は大きく改善されたという。三洋電機株式会社の充電式電池「エネループ」ウェブサイトによると、2年くらいなら使わなくてもあまり減らなくなったし、使い切る前に充電してもよくなったのだとか。繰り返し1000回使えて、1回あたりの費用は約4円だという。環境にもお財布にもやさしいのである。

しかし、普通の乾電池と充電式電池には決定的な違いがある。それは電圧。
乾電池は1.5V(ボルト)だが、充電式電池はその8割の1.2Vなのだ。家庭用のコンセントは100V。これがもし80Vになったら、パソコンなんかは全然動かない。こんなに電圧が低くて、乾電池の代わりになるのだろうか。

「ほとんどの電池使用機器は終止電圧が1.1V以下のため、1.2Vだから使用できないということはありません。乾電池の1.5Vというのは公称電圧であり、実際の平均電圧ではこれより低くなります。
これに対して充電式電池は1.2Vより若干高くなります」(三洋電機)

早速、試してみた。筆者がよく使うICレコーダーで実験。電池がなくなると自動的に電源が切れるしくみになっている。
  アルカリ乾電池:新品時1.54V→1時間後1.36V→7時間31分後1.05V(電源自動OFF)
  充電式電池  :満タン1.34V→1時間後1.24V→6時間59分後1.05V(電源自動OFF)
録音はどちらもバッチリ。充電式電池の方が30分ほど早く切れてしまったが、これは機器や使い方によって異なる。例えばデジカメだったら、充電式電池の方が長持ちするそうだ。


ところで、モノによっては「充電式電池は使えません」と書いてあることがある。使ってもよいのだろうか。
「メーカー側で充電式電池使用の検証をしていない場合や、子供向けおもちゃなどに『使えません』と書いてあることがありますが、特殊な場合を除き、通常の乾電池駆動機器でお使いいただけます」(同)
誤ってショートさせてしまった場合、充電式電池は乾電池より高温になりやすい。おもちゃの場合は充電式電池に限らず注意したいが、三洋電機の「エネループ」の場合、容量の大きな単1・単2形には過熱防止機能を付けているそうだ。

そんなわけで、充電式電池は多くの場合、乾電池の代わりとして使えそう。電池もどうやら、中身を詰め替えて使う時代になってきたようだ。

「電池は燃えないゴミ? 資源ゴミ? どっちでもないの?」そんな悩みも、今後は減るかもしれません。
(R&S)