ところで、人は洋服を買った後にふたつのパターンを取るそうだ。
まず、身近な人にアンケートをとってみたところ、洗わない派が若干多いものの、割合はおよそ半々。洗わない派の意見としては「パリッとした新品特有の感覚が好き」というものや「あまり洗うと服が傷みそう」というもの。
洗う派は「誰が試着したかわからないので」や、「肌が弱いため、洗わず着るのは怖い」といった意見も。
男性より女性の方が洗うと答えた人が多く、中でも直接肌に触れやすい薄手の物はまずは洗うと言う声が目立つ。
ただの癖と言い切ってしまえばそれまでだが、意外にこの問題は根が深い。結婚した二人の意見が異なる場合もあるそうで、そうなると「新品をそのまま着たい」「そのまま着るなんて気持ちが悪い」と意見がぶつかり合ってしまう。
目玉焼きには醤油か塩かと言うくらい、実は重要な問題だったのだ。
ところで実際、陳列されているものを買うなり着用しても問題無いのか、ユニクロさんにきいてみた。すると、
「きちんと検査を行っており、素材・染料等の安全性には問題はありません。ただ、気になる方は洗濯をして頂いても大丈夫です」
とのこと。
それでは、新品ではなく古着屋はどうか。
府内で古着屋を営業しているお店に伺ったところ。
「洗濯をするという人が多数ですね。ただし古着の中には使い古された雰囲気が持ち味のものもあります。最初はその雰囲気を楽しむために、何回かわざと洗わないまま着る人も多いです」
と、古着の場合は洗うタイミングにまでこだわりがあるそう。
しかし、洗う派の中で一番多く聞かれたのが「皮膚が弱いため」と言う意見だ。
そこで今度は皮膚科に尋ねてみると、
「アレルギーを持っている人や、これまでにかぶれた経験のある人は洗った方が良いですね」
それに、
「これからの季節は乾燥しますので、普段はかぶれにくい人でも、新しい服の繊維によってかぶれてしまうこともありえます」
と言う。
そんな時は一度洗濯をして、繊維のとんがり感を取ってしまえばかぶれの発生を押さえることができるとか。
しかしこれからは冬、洗濯物が乾きにくい季節到来だ。洗いたい派にとっては洗いたいけど洗えない、そんな季節。
どうしても洗わないと気が済まないと言う人はいったいどうすればいいのか、再度皮膚科の先生に伺ってみると、「そんな時は、スプレー式の容器に水を入れて、衣類の裏面に軽く吹きかけてみてください」という提案が。
軽く水分を吹きかけるだけでも毛羽立った部分が落ち着き、皮膚に触れる感覚が変わるのだそう。特に起毛した服の多い冬服には最適な方法なのだとか。
その水にアロマエッセンスなどを加えれば、香りも付いて二度美味しい。洗う派も洗わない派も、この冬は“新しい服にシュッと一吹きの習慣”と言うのはいかがでしょう。
(のなかなおみ)