以前、コネタの記事でも、主にオーストラリアやニュージーランド産のものを中心に、ワインのキャップがコルクから、人工コルクやスクリュートップのもの、またはコルク代用品として登場した『ZORK』というキャップに変わってきていることが紹介していたが、日本でもその傾向を実感するようになってきた。

というのも、私はワイン好きでよく購入するのだが、ずらりと並んだワインから選んでみたところ、コルクではないワインを選ぶことが多くなってきたのだ。
それも、『ZORK』はまだ見たことがなく、ごくふつうのスクリューキャップ。まわすだけで、カチっといったら、簡単に開く、あのキャップだ。

なんとなく高級感には欠けるかな、と思いつつも、見ていると、必ずしも安い=スクリューキャップ、というわけでもないようだ。ワインのコルク臭が主な原因で、スクリューキャップに代用されているともいわれているが、では、スクリューキャップのメリットはどんなところなのだろう?

個人的にも、ふだんから愛飲しているワインのメーカー、メルシャン株式会社に問い合わせてみた。

まずは、なぜコルクからスクリューキャップに変わりつつあるのかについて伺った。すると、「やはりコルク臭が発生するため、というのは一番大きな理由といえるかもしれません。
また、コルクは天然の素材のため、例えば、穴が開く、切れ目ができるといったことで、酸素の流入による酸化がおきることがあるんです」という。

では、スクリューキャップのメリットは?
「スクリューキャップには、いろんな利点があります。まず、垂直保管が可能です。コルクの場合は、湿らせておいた方がコルクの乾燥を防ぐことができるため、通常寝かせて保管することが多いんですが、スクリューキャップであれば、立て置いても問題ありません。そして、保管場所の湿度にも影響されにくく、さらに、リサイクルも可能です」

なるほど。いろんなメリットがあるようだ。
でも、保管状態については、どうなのだろう?
「実験により、白ワインでも、赤ワインでも、理想的な熟成を促すことが証明されています。デメリットを強いていえば、主にレストランなどで、コルクをあける儀式的な楽しみが失われる、ということでしょうか」

実際に、消費者からも、「自宅で自分用に飲むなら、スクリューキャップでもいい」という意見が多いよう。「開けるのが簡単」「飲み残したワインも簡単に保存できる」などの理由で、好評だという。

スクリューキャップのワインは、ワインの進行国といえるオーストラリアやニュージーランドから、チリやカリフォルニアへと広まっていき、ワイン伝統国のフランスにも少しずつ、出始めてきているのだとか。だから、それらのワインを輸入している日本にも、必然的にスクリューキャップ仕様のワインが増えているというわけ。

「まだ浸透していない頃は、スクリューキャップの下に、コルク栓がしてあると思っていたお客さまもいらっしゃったようで、『開けてみたら栓がなかった!』といわれたエピソードもありますね。
でも最近は日本でも、もう浸透しています」

今回の取材で、スクリューキャップのメリットがよくわかった。もちろん、雰囲気的にコルクを開けるのを楽しみたいときもあるだろうけど、便利で、良い状態にキープできるなら、私的にはスクリューキャップ、大歓迎! これからますます、お世話になりそうです。
(田辺 香)