ホーバークラフトという乗り物をご存知だろうか。

高速空気によって船体を水上に浮かべ、プロペラ動力で進む一種の船。
水上だけなく陸上も走れる水陸両用。昔、○○子供新聞で「夢の乗り物」なんて紹介されていたこともあった。1959年にイギリス人によって開発されたというから、世に登場してまだ約50年。そんなホーバークラフトに日本で唯一乗れるのが、ここ、大分県だ。

大分空港から大分市内まで、実際にホーバーに乗ってみた。乗車する時、ホーバーは陸上にある。
出発後もしばらくは陸上を進んでいくが、時折、船が真横に進んでいるかのような、変な錯覚に陥った。そして何の衝撃もなく海上へ。どんどんスピードアップ、船とは思えない速さに。窓には時折波しぶきが。船の最高時速はなんと90kmだという。混雑時に使う補助席には、安全のためシートベルトが付いている。
乗り心地は、他の高速艇と同じくらいで、まずまず。

何かちょっとはしゃいでしまったが、船内にはビジネススーツのおじさんやお姉さんがたくさん。みんな乗り慣れているのか落ち着いている。30分ほどで大分市内に上陸、再び陸上を少し走って下船となった。

運航する大分ホーバーフェリー株式会社に聞いたところ、以前は大分以外でもホーバークラフトに乗れたのだという。
「瀬戸内の宇高連絡線や、鹿児島にもあったのですが、コスト的に合わなかったようです。
観光目的や一般客の利用が主で、観光の場合、シーズンオフには利用がグッと減りますから」
ホーバークラフトは一艇6億5000万円~7億円と大変高価で、整備費も安くないのだそうだ。大分の場合はビジネス客が主で、年間平均して利用があるという。船内のビジネススーツのお客さんは、きっと東京への出張の帰りなのだろう。海上を行くので、飛行機同様渋滞知らずなのも魅力だ。

ところで、乗ってすぐに感じたアノ「船が真横に進む感じ」は何だったのか。
「大分空港のホーバー滑走路はS字で特殊なんです。
ホーバーは浮き上がっていますので、舵を切ると惰力で頭を振ってしまうんですね。そのため、横に進むところがあるのです」
筆者が感じたのは錯覚ではなかったのだ。横に進む乗り物、これはとても不思議な感覚。遊園地のアトラクションに乗っている気分。飛行機で大分へ行く機会があったら、ぜひ乗ってみてね。
(R&S)