元日の朝、1分が61秒になる。
3年ぶりに「うるう秒」が実施されるからだ。
「8時59分59秒の1秒後は、何時何分何秒?」こんなクイズがあったとしよう。いつもだったら、正解は「9時0分0秒」だが、来年の元日に限っては「8時59分60秒」が正解になる。「9時0分0秒」がやってくるのは、さらにもう1秒後だ。

昔は、地球が回る速さを元に「1秒」の長さを決めていた。でも、地球の回転速度には結構ムラがある。技術の進歩でもっともっと正確な時計が必要になり、1967年から「原子時計」の刻む1秒が正確な「1秒」ということになった。しかし、地球の方は少しずつ回転が遅くなっているので、だんだん原子時計とずれてくる。ずれを戻すためにうるう秒が実施されるのだ。うるう年と違って、何年に1度とは決まっていない。

そういうわけで来年の元日の朝は「8時59分60秒」を見るチャンス。どこに行けば見られるだろうか。日本標準時を司る独立行政法人情報通信研究機構(NICT)に聞いた。

「若干調べてみましたが、街中にある時計には(8時59分60秒が表示できるものは)見当たりません。もし見かけましたら教えて頂きたいほどです」
NICT光・時空標準グループによると、「8時59分60秒」が表示される時計は次の4つ。.
・ 東京都小金井市 NICT本館の時計   ・東京霞が関 総務省ロビーの時計(ただし元日は閉館)
・福島県田村市 国道288号線脇の時計 ・福島県川内村 道路脇の時計
福島県にある2カ所は、いずれも電波時計の電波発信地のお膝元。この4カ所以外にはないのだろうか? 国立天文台、明石市立天文科学館、シチズン、カシオと尋ねてみたが、いずれも「分からない」あるいは「ない」という回答だった。

セイコータイムシステム株式会社からは、こんな情報が得られた。
「テレビ局でも当社の時計を使って頂いておりますが、8時58分0秒~8時59分40秒の間、1秒を100分の1秒長くすることで(うるう秒の1秒を)調整します」
秒針は普通1秒にひと目盛進む。これを1.01秒に延ばして少しずつ秒針を遅らせ、うるう秒を調整するしくみ。そんなわけで、テレビでも「8時59分60秒」は見られないようだ。

ということで、元日の朝「8時59分60秒」が見られる場所、どうやら日本には3カ所しかなさそう。「時間に正確な日本」にしては、ちょっと意外な感じである。

なお、ウェブ上ではNICTが提供する日本標準時で「8時59分60秒」が見られる。また、NTTひかり電話の時報サービス117では「ピ、ピ、ピ、ポーン、ポーン」というふうに、8時59分60秒と9時ちょうどの2回続けて「ポーン」が聞けるそうだ(ひかり電話限定)。
遠くて見に行けない人は、どちらかで確かめてみてね。
(R&S)
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