以前、Bitにて「仕事が本業」のアマチュアサッカーチームについて紹介したのだが、今回は「Jリーグを目指している」アマチュアサッカーチームを紹介しようと思う。

東京都町田市が本拠地で、2011年のJリーグ入りを目指しているという「FC町田ゼルビア」にお話を伺った。


「FC町田ゼルビアは1989年に創部されました。町田市は93年のJリーグスタートから、すでに34人のJリーガーを輩出するなどサッカーが盛んな町なんです。しかし、町田市には強い社会人サッカーチームがなく、町田で育った有能な子供たちは、プロチームやプロを狙えるチームを求めて町田を離れてしまっていたのです。そこで、FC町田(少年サッカーチーム)の指導者が、『町田で育った子供たちが大人になってもプレーできる町田の強いチームを作ろう』と思い立ちました。それがFC町田ゼルビアの始まりです」とFC町田ゼルビアの広報担当者。

FC町田ゼルビアは現在【JFL】という、Jリーグのすぐ下のカテゴリに所属しているのだが、アマチュアチームがJリーグへ辿り着くためには、どのような道を進まなければならないのだろう? FC町田ゼルビアが実際に歩んだ道を見てみよう。

【東京都社会人リーグ4部~1部(都道府県リーグ)】→【関東社会人サッカー大会(地域リーグ入りを賭けた大会)】→【関東サッカーリーグ2部(地域リーグ)】→【関東サッカーリーグ1部(地域リーグ)】→【全国地域リーグ決勝大会(JFL入りを賭けた大会)】→【JFL】

う~ん、長い道のりだこと。さらに、Jリーグ入りするためには【JFL】で4位内に食い込まなければならないのだから、かなりの関門が(JFLからJ2に昇格するのには、Jリーグの審査にパスする必要もあります)。

「FC町田ゼルビアは、【東京都社会人リーグ1部】に7年間滞留しました。そこで、元Jリーガー竹中穣氏(町田出身)をチームに入れて、竹中氏を中心にチームを改革することにしたんです。辞めていく仲間もいましたが、Jリーグを目指す気持ちを捨てずに、チームを強化していきました」

チーム改革に乗り出した翌年から、優勝と昇格を3年連続で繰り返し、2007年には【全国地域リーグ決勝大会】に出場するも惜敗したんだとか。

「やはり【全国地域リーグ決勝大会】に勝つようなチームはプロの監督を雇うなど、かなり本格的なチームが多かったです。
そこで、チームを株式会社化してフロント面を強化し、プロ監督やプロ選手を雇用しました」とFC町田ゼルビアの広報担当者。

ちなみに、FC町田ゼルビアの運営費はいくらなのか聞いてみたところ、
「2008年はスタッフなどの給料を含め、1億円程度です。【JFL】に昇格する今季は1億5千万円を見込んでいます」とのこと。

フロント強化の甲斐もあってか、昨シーズンにはついにアマチュア最高峰の【JFL】昇格を決め、Jリーグまで文字通り、あと一歩というところまで来た。

「今後、2年以内に【JFL】4位以内を確保して、2011年にはJリーグ昇格を実現させ、町に元気、子供たちに夢と希望を運びます」というマニュフェストを発表するなど、かなりイケイケムード。

FC町田ゼルビアに完全プロ契約している選手は2人。あとの選手は働きながらサッカーをしている。J2の一歩手前でも、全員がサッカーだけで食べているわけではないのである。仕事との二足のわらじを履いている選手のためにも、是非ともJリーグ入りを果たしてもらいたい。
(ドープたつま/studio woofoo)
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