レコード屋さんのアクセサリコーナーで、とあるノートを見つけてしまった。この白と黒がモシャモシャしたデザイン。
中央に貼られた何角形だかわからないラベル。そう、このノートこそ、伝説のB-BOY御用達ノートである! 「御用達」といっても、私が勝手にそう呼んでいるだけなのだが……。

正式には、Mead社から発売されている「Composition Book」という名称。実はこのノート、私の大好きなラッパー、Nasの作品『Lost Tape』のジャケットにさりげなーく、登場していたのである。

「あぁ、きっとNasはこのノートにリリック(歌詞)をしたためているのだろう……」なんつー、妄想を膨らましていたもんです。

他にも、ヒップホップ・プロデューサーBuckwildの作品『Still diggin' composition』のジャケットにも使われていたし、シューズメーカーのNIKEは、以前「Composition Book」柄のスニーカーとして「Back to School」というモデルを出していた。


というように、ヒップホップ界やストリートカルチャーでは、なにかとフィーチャーされることも多いのが「Composition Book」なのである。なもんで“B-BOY御用達”という称号を付けさせてもらったというわけだ。まぁ、勝手にだけど。

そんな、憧れのB-BOY御用達のノート。きっと、ラッパーがリリックを書きやすい工夫などが施してあるに違いない。ドキドキしながら開いてみる。
ペラペラ。

アレ? なにこれ、普通のノート。

「『Composition Book』は、アメリカでは学校などで幅広く使われているスタンダードなノートのようです」

と語るのは「Composition Book」を販売している(株)ダンスミュージックレコード(以下DMR)の担当者。

え? 普通のノートなの? ラップのリリックを書くための専用ノートかと思っていたのに……。では、なぜラッパーたちはこぞって「Composition Book」を使用するのだろう? 

「確かに、多くのラッパーがリリックを書き留めるのによく使っているようです。はっきりとした理由はわからないんですが、逆にとてもポピュラーなノートだからこそ使っているのかもしれませんね。
既存の音源で楽曲を作り、一大音楽ムーヴメントを作ってしまったのがヒップホップ・カルチャーですから、そういった『身近なもの、ありふれたものの中からオリジナルなものを創り出す』という精神の表れなのではと、私は思います」とDMRの担当者。

フム、なるほど。特別なものを用意するのではなく、身近なものを使って作品を作り出すのがヒップホップ。だからリリックを綴るノートだって、その辺で売っているポピュラーなものを好んで使っているのか。

ということは、日本のラッパー諸君は「Composition Book」など買わずに、ジャポニカ学習帳でリリックを綴るのが正しい! ということですな。

「それが正しいかどうかはわかりませんが、『Composition Book』自体は通なヒップホップ小物だと思うので、是非ともチェックしてもらいたいですね」とDMRの担当者。


そうなんですよ。ほっとけないアイテムなんですよ。

「重厚で存在感があるんだけど、気軽に使える……。この感覚は、日本製のノートではなかなか得られないと思います。前述の通り、決してとっつきにくい高級品というわけではないので、日常的な書き物全般に使っていただくのがオススメです。また、一番普及しているMead社のブラック以外にも、いくつかのカラーバリエーションが出ていますので、ポップな小物が好きな方にも注目してほしいですね」とDMRの担当者。


Mead社の「Composition Book」。持っているだけでB-BOY度数が上がること間違いなし!
リリックを書く予定のある人ない人、ラップに興味ないけど、ごついノートが好きな人。「Composition Book」オススメです。
(ドープたつま/studio woofoo)