こんな尊敬する人たちが現実にいてくれたら、どんなに良いものかと思っていた。
それが現実にいた。防犯活動に従事する5人組、東京都・葛飾警察署に在籍する「防犯戦隊フリコマン」が。
葛飾警察署のウェブサイトによると彼らは、「この世から犯罪による被害を撲滅するため、特別に選ばれた警察官により構成された、犯罪と戦う集団」である。葛飾警察署長より、「依然として猛威を振るう振り込め詐欺を撲滅すべし」との特命を受け、2008年11月、署内に隊本部を置き、署員から特に優れた(芸)能力を有する人材を選抜して結成された。
「防犯戦隊フリコマン」は隊長以下5名。隊長のフリコマン、参謀のゼネラル・スタッフ、戦略スタッフのプロデューサー、チーフ、そして、本田あやめ巡査らで構成されている。
戦闘スタイルは、「徹底して武闘を避ける」というもの。戦略は、犯罪者から加わる力を押し返そうとする「抵抗性」、犯罪者の力が及ばない範囲を明確にする「領域性」、犯罪者の行動を把握する「監視性」。以上の三要素を高めることで、犯罪者にとって犯罪を犯そうと決意しにくい環境をつくり上げる。
そんな真面目なことを掲げておきながら、一方では「笑いをとる。地域住民にいかつい顔を見せる必要はない。笑わせてなんぼである」という、腰が砕けそうになる戦略も。
元々彼らは、振り込め詐欺の撲滅に特化したユニットとして組織された。その後、徐々に活動が周囲に認知され始め、その活動は振り込め詐欺の撲滅にとどまらず、犯罪の防止という防犯活動に広がりを見せるように。
それに伴い、隊長のフリコマンは発隊メンバーである「手渡さなイーヌ」に一時帰休を命じ、新隊員を迎えることとした。そこでスカウトされた新隊員が、アニメ顔の女性警察官の「本田あやめ巡査」。
彼女のプロフィールは、大阪府出身の年齢は22歳くらい、身長は160センチくらい。ニックネームは「アイリス」。長所は「笑顔を絶やさないこと」(覆面だから)、短所は「視野が狭い」(覆面だから)。将来の夢は「歌って踊れるお巡りさん」で、ライバルは「もちろん両津さん」。趣味は「コスプレかも……」というセクシーな一面も。
彼らは普段、主に啓発キャンペーンなどに出演。フリコマンとあやめ巡査は、本番に弱いタイプ(という体の、しゃべれない2人)なので、音声はあらかじめ吹き込みで作っておく。だが、不運なことに、ラジカセの調子が悪くなってしまう日も……。「私の名前はフリコマン」と言うはずのところが「私の名前は、フリコ、フリコ、フリコ……リコマン」のように、フリコマンリミックスを聴かせる失態!? をさらした経験もある。音声の一定区間を繰り返してしまったり、一部が飛んでしまったりと、まったくもって目も当てられないサマに……。そんな失敗にもめげず、彼らは日々の勤務に全力で取り組んでいる。
キャンペーンでは、あやめ巡査の人気が、子ども、特に女の子からあった模様。あやめ巡査と一緒にお母さんの携帯電話で写真を撮ってもらう女の子が何人もいたらしい。
葛飾署によると、要請があれば今後も彼らの出動はある。
「我々は、犯罪に強い環境づくりをめざす。我々は犯罪者と闘わずに勝利する。我々は、年中無休です。
(寺西ジャジューカ)