“サザエさん”といえば「あぁ~もう明日学校だ」という気持ちになった時のことを思い出す。同時に“サザエさん”にでてくる“磯野波平さん”の頭には側面を残しててっぺんに髪の毛が1本しかないことに疑問を抱いた。


1本だけ残る、なんて現実的に考えられるのだろうか?

前回 、“ハゲの遺伝”に関する記事で紹介した“5αリダクターゼ”というハゲの根源となる男性ホルモンに「変身する力」が関係していることがわかったので紹介したい。

脇坂ナカツクリニックの脇坂先生によると、「磯野波平さんは側面にはちゃんと髪の毛がありますよね。ハゲの遺伝に必要な還元酵素“5αリダクターゼ”は、実は前頭部から頭頂部にかけてしか存在しないんです。ですから、男性型脱毛症(AGA)には前頭部から頭頂部にかけてハゲていくという傾向があります」

ここまではよく見かける髪形の説明である。

では、てっぺんの1本の毛はありえるのだろうか?

「実はさらに言うと、毛1本1本によって“5αリダクターゼ”という酵素を持っているものと持っていないものがあります。皮膚そのものではなく生えている毛によって違うのです。つまり、磯野波平さんの頭頂部の1本の毛は“5αリダクターゼ”を持っていないということになります」

なるほど。漫画の中の世界はなんでもありなのかと思っていたが、現実世界でも考えられる髪の毛の姿だったのですね。ちなみにあの1本の毛はハゲの性質を持っていないことになるので、抜いてもまた新しい毛が生えてくるだろうとも。

また、この酵素は父母から遺伝するので、カツオ君の将来もやはり……?

「親がハゲているからといって子どももハゲるとは限りません。髪が薄くなってきて、男性型脱毛症の場合、原因は遺伝である。とは言えますが、その子どもが必ずしもハゲるということはないです。
可能性としては高いといえますが……」

そうか。あくまでも素質を持っているというのと同じで、それを発揮しなければ結果は出ない。アレルギー体質だって、それを触ったり食べたりしてはじめて発症するのだから。なんにしても、なってしまってから認識するのはちょっと辛い話だが……。

人間の体は不思議なものだからしょうがないですね。
(楓 リリー)
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