人生ゲームは1968年に日本で発売されて以来、これまで45種類、約1200万個が販売された超メジャーな盤ゲームだ。45種類の中には以前コネタで取り上げた「雷鳥や雪女が乗車!? ご当地人生ゲームで遊ぶ」のように長野県白馬村のローカルな出来事を取り入れた「地方限定版」もある。
また、コネタ記事「いまどき人生ゲームに、人生を考えてしまう」で紹介されているとおり、その当時の現実社会の世相を反映しているのが特徴だ。
46作目になる『極辛』ではより色濃くそれが反映させており、「新型ウイルスで高熱」(タイムリー過ぎてビックリ)、「裁判員に選ばれる」「お宝、速く泳げる水着を取る」など、リアリティにあふれたコピーが多数存在している。また、従来品に比べて盤面積が1.5倍、マス目の数は約1.7倍に増え、マス目が螺旋状になった「スパイラルゾーン」が新設された。
知らない人のためにゲームのルールを簡単に説明すると、ルーレットで出た数字分だけコマを進めながら、マスのコピー指示に従い、就職、結婚、株、不動産売買、ギャンブルなどして蓄財していく。そして、各プレーヤーがすべてゴールまたは開拓地に着いた時点での財産金額の一番多い人が勝ちだ。
コマを進めていくうち、財産が増えると同時に、ストレスカードも増えていく。例えば「恋人にケータイをチェックされる」「浮気がバレて大げんか」「パソコンがウイルスに感染」「ハグキから血が出る」などストレスを感じないではいられないマスに止まるとカードをもらう。5枚貯まると2万ドルの罰金のうえ1回休み。それだけではない。
ストレスカードを持っていると、「スパイラルゾーン」のハードコースに行くことになり、ノーマルコースより多くの艱難辛苦を味わうことになる。「高機能ケータイをドブに落とす」「人を助けて大ケガ」「ひったくりにあいお宝をすべて失う」などして、どんどん財産を失っていく。しかも、このゾーンはセーフティゾーンにピッタリ止まれないと抜け出せない無間地獄なのだ。これが『極辛』の真髄なのだろう。
長いスパイラルゾーンを抜け出しても、ゴールまでの道のりはまだ遠い。しかも、ゴールの前に「決算日」というマスがあり、そこに着いたとき、借金が返済できないプレーヤーはゴールに行く権利がない。
そこで、「人生最大の賭け」が用意されており、ルーレットの出た目を当てられたら50万ドルもらえる勝負に挑むのだが、それでも借金を返せなければ全財産を銀行に取られ「開拓地」でほそぼそ生きていくことになる。
今は何かと辛いご時世だけに、『極辛』はとても切実なゲーム。筆者もプレーしてみたが、ゲームの中に自分の人生と重なる出来事、たとえば「クレジットカードがスキミングされる」「上司の秘密を握る」などがあったためか、非常に感慨深げだった。
「人生ってやつは、まさにルーレットだ」
(羽石竜示)