米にパスタに汁にデザートに。どんなジャンルにも、すんなり溶け込んでしまえるのが納豆の魅力だ。

納豆嫌いな人からすると目をそらしたくなるかもしれないが、納豆の受け入れ範囲は意外に幅広い。
さらに乾燥納豆など見た目から変身してしまうのも、納豆の懐の深さ。そんな納豆の新しい味を発見した。

それが新潟の老舗納豆製造会社、大力納豆さんから販売されている“国産糀入味付納豆”。これ、納豆の漬物のような食べ物だと言う。

どんな物かと尋ねてみると「納豆にコウジや塩、ミリンを練りこんで納豆に味を付けたものです」と、いたってシンプル。
最初から味が付けられているため、パッケージを開けてタレをかけてこねて……と言う手間が省ける。

40年ほど前から販売されていた看板商品だったが、使われる素材を全て国産品として仕切り直したのが21年3月と、最近のこと。
すでに新潟、東京に大阪などの百貨店を中心に販売が行われているそうで、早速ひとつ購入してみた。

箱入り納豆に慣れた人間からすると、ちょっと違和感を覚える真空パックの立ち姿。豆の間にちらちら見える白い粒がコウジだが、豆と絡み合って一見すると納豆には見えない。
しかし開けて見れば、香るのは納豆独特の匂いだ。
コウジに負けて納豆の匂いが死んでしまうのでは……と思っていたが、納豆の香りの強さはコウジに負けない。
しかも遠慮無く粘る。漬けられようがコウジと混ぜられようが、粘りが衰えない納豆菌の強さには恐れ入る。

粒の大きさは、豆の食感が残る大粒。味はコウジの上品な甘さとしっかりとした塩味が効いていて、そのまま食べても大丈夫。爪楊枝などでつまめばいいお酒のアテになりそうだ。

もちろんご飯に乗せたり麺に絡めるなど普通の納豆のように使うこともできる上、食欲の無い時にお茶漬けの上に乗せてさらさら食べれば、これからやってくる夏バテの季節にもピッタリ。

そもそもこの商品の元になったのは、魚沼地方の郷土料理のひとつ、“夏なっとう”と言う食べ物。
コウジと塩でしっかり納豆を漬け込んだ納豆の粕漬けだが、保存ができ栄養も高いとあってなかなか優秀な食品で、その名のとおり夏に食べられていた健康食だそう。

ただしこの郷土料理は少々塩分が高め。そこで塩分を控えめにして、お店オリジナルの味として打ち出したのがこの商品なのだとか。
もちろんこちらも冷蔵庫で一カ月ほど、長期保存が可能だ。


これからは梅雨、夏、と食欲が失われる季節がやってくる。もう今日は何も食べたくない。なんて人も、食べなければ元気は出ない。
この梅雨は、こんな手軽な納豆で食欲不振を乗りきってみては。
(のなかなおみ)