NHKのニュース番組を見ていると、ニュースを読むアナウンサーに「お! 髪切った?」と気づきたくもないのに気づいてしまうことが多々ある。

女子アナウンサーの場合、髪をまとめたり、いろいろアレンジする人が多いので変化がよくわからないが、男性のアナウンサーに関しては、コレが意外と気になる。


もちろん「毎日見る顔だから変化に気づきやすい」ということはもちろんあるだろう。
だが、たとえば、「髪切った?」の定番モノマネギャグがあるタモリを見て「髪切った?」と思ったことはあるだろうか。
また、みのもんたや小倉智昭の散髪にも、気づいたことはない。彼らはかなりキャラが立っていて、「髪型」も固定像ができあがっているということもあるだろうけど、福澤朗や安住紳一郎(たまに髪をおろしてたりするが)、羽鳥慎一などの散髪も、基本的にはあまり気づかない。
なのに、なぜNHKのアナウンサーばかり、散髪が気になるのか。ついでに、NHKのアナウンサーの場合、「今日はちょっと目が腫れぼったいな」「疲れてそうだな」「ちょっと嬉しそうだな」などなど、微妙なコンディションにまで気づいてしまう。

特にウォッチャーでもないのに、なぜなのか。

あるテレビ雑誌ライターに聞いてみたところ、こんな指摘があった。
「NHKのニュース番組は、民放と違って、アナウンサーが正面を向いたままバストアップで映すことが多いですよね? バックもシンプルで、自然と顔に目がいきます。それに対して、民放のニュースの場合、複数の人がカウンターにいてやや斜めから映したりバックに小窓でニュース映像が流れたり、テロップがいろいろ出ていたりと、画面上の情報量が多いから、視線が散るのでは? 背景に報道フロアがうつりこむようにして、臨場感を出すのも定番ですよね? でも、NHKのニュースの場合は、アップで正面から映し続けるので、顔や髪型の変化に気づきやすいんだと思います」
なるほど。言われてみれば、NHKのニュースと、多くの民放ニュースとでは、「カウンター」の使い方、映し方に違いがある気はする。

そんな話を聞いているうち、思いだしたこと――。
先日、家でタンスの組み立てを行っていたとき、四角い木枠を使って私がやった一発ギャグ「6時のニュースです」と、それを受けて小3の娘がやった「6時のニュースです」には、大きな違いがあった。

私のソレは、木枠をテレビ画面に見立てて上半身をはめ、顔をのぞかせるというものだったのに対し、娘のソレは、木枠をカウンターに見立てて、上半身をその上に出すというスタイルだったのだ。
「平成生まれの子のニュースは、カウンタースタイルか」とジェネレーションギャップを感じてしまったのだが、実はこれ、私のギャグが「NHKニュース」なのに対し、娘のほうは「民放ニュース」というスタイルにも思える。

ちなみに、NHKのアナウンサーの髪については、「急に髪が真っ白になった」と一時話題になった男性がいるほか、ネット上で「○○アナは水曜日だけ前髪を垂らしている」「○○アナの髪型がヘン」など、様々な指摘を見ることができる。

毎日、シンプルな画面構成で、正面アップの顔を見る存在だけに、「あ! 髪切った?」状態は、全国各地の視聴者の間で起こっているのかもしれません。
(田幸和歌子)