髪の毛を切った日、お風呂で頭を流すと毛は結構落ちる。床にパラパラ、湯船にプカプカ、拭いたタオルにもベタベタと絡みついてる。

でもそれだけじゃなくて、そこから2~3日、毛は落ち続ける。次の日も、その次の日も、量は減っていくものの毛は床に落ち、拭いたタオルに絡みつく。頭皮をゴシゴシこすって何度洗い流しても、最終手段として湯船に潜って頭をすすいでも。

髪を切ったその日のうちに、キレイに洗い流せないもんなんだろうか? 行きつけの美容室で、店長に髪を切ってもらいながら、雑誌から視線を上げて聞いてみた。
「ありますよね、そういうの。髪を切ってから2~3日は、どうしても毛が落ちちゃうものなんですよ。
できることは、頭に近づけたシャワーや桶のお湯で、勢い良く流すくらいなんですよね」

えっ、じゃあ次の日も、その次の日も毛が落ちちゃうのは、しょうがないってこと?
「頭皮にくっついてる切れた毛は、その日に頭を洗えばキレイに流れます。でも次の日から落ちるのは、それじゃないんです。ちぎれやすくなった毛なんですよ。切ったときにハサミの先などが当たって、どうしても半分切れたり、傷がついちゃう毛があるんですね。そういった毛が、髪を洗ったり拭いたりして力が加わったときに、落ちちゃうみたいなんです」
え~、頭皮に残ってたわけじゃないんだ。だからゴシゴシこすっても、勢いよく洗い流しても、毛が落ち続けてたんだ!

ちぎれやすくなってる毛は、ドライヤーで乾かしたときや寝返りでこすれたときなど、髪に力がかかるさまざまな場面で、完全に切れる。
そうして毛は落ちていき、数日経てば、いつもの抜け毛レベルに落ち着くってわけだ。

完璧に洗い流すのは難しかった、切った髪の毛。でもタオルや枕に毛がつくのはちょっとうっとうしいから、できればその日のお風呂で洗い流したいのが本音。
最後に髪に悪いことを承知で店長に質問。ちょっと力を入れて髪をバサバサと払ってみたり、切れかかった髪が落ちるようタオルで思いっきり拭くのってダメ?
「確かに落ちやすくはなりますが、力を入れすぎるのはあまりおすすめしないですね~。髪が傷むことがありますから」

すみません、愚問でした。
それほど気にしないでおきます。
そしてひとしきり質問を終えたあと、セミの生態について熱く語り始めた店長に適当な相づちを打ちつつ、フェードアウト気味に雑誌へ視線を落とした。
(イチカワ)