大河ドラマのテーマ音楽が鳴り響く城内に入るとまず、織田、豊臣、毛利、北条、武田など名門戦国大名の家紋が入った幟(のぼり)が立ち並ぶのが目に飛び込んでくる。何でもこの城、戦国の乱世にあって織田信長、豊臣秀吉、徳川家康らを影で操り、全国の諸大名を従え、真に天下を我がものとしていた幻の武将「萌田のぷ長」の居城なのだそうな。城に仕えるメイドたちは、それら諸大名から人質として差し出された姫たちで、のぷ長の命により武装をさせられ、上洛する“武将”たちをもてなす給仕役を強いられているというわけなのである。
城の奥には代々家宝として伝わるピンク色の見事な鎧兜が鎮座。武田家の家宝「楯無し」の鎧ならぬ「たてあり」の鎧なのだとか。そしてVIPルーム・黄金の茶室もしつらえてある。
今までのところ、訪れる武将たちは、3分の1が欧米からの観光客。路上でチラシを配っている武装メイドの姿に興味を持った「日本オタク」の方々が多いようだ。そして3分の1が女性客。いわゆる歴女たちだ。
そんなひと癖もある武将たちに対処するメイドさんたちは、根っからの歴女もいれば、『戦国BASARA』や『信長の野望』などゲームから武将好きに転じた女の子など、系統は様々。お店を経営する、ぱるてのんプロの流矢辰也さんは、どんな客にでも対処できるよう、メイドさんたちには日頃から歴史物に目を通すなどの知識武装を怠らないよう指導しているという。
現在提供している食事のメニューは、牛丼と豚丼を合いがけにした「関ヶ原天下分け目合戦丼」を目玉に、「秀吉の千成ウィンナー」「大阪ナッツの陣」「長宗我部もち親」(餅チーズ)「信玄静かなること林の如しライス」(ハヤシライス)など、戦国時代にちなんだダジャレ系のものがズラズラ。メニューはすべてメイドさんたちの創作なのだそうだ。
また、1日1回、お客さんの様子を見計らって、メイドさんの手作りによる「紙芝居」が演じられるなど、いくつかアトラクションも用意されている。
今後はコスプレイベントなどの企画も考えているほか、「戦国」だけでなく「幕末もの」への要望が意外と多いそうで、来年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」を先取りしたような企画が近く登場しそうだ。
というわけで、「お館様にご武運を!」とメイドさんたちから声をかけられ後にしたお城の営業時間は、12時から17時までがカフェタイム、17時から22時までがバータイムとなっている。予約は一切受け付けておらず、まだそれほど混み合う状態ではないようなので、時代物好きなら一度足を運んでみるといいだろう。
(足立謙二/studio-woofoo)