この時季、家庭でのお昼は毎日、冷たい麺……という人も多いかもしれない。

ところで、最近、スーパーのチルド麺コーナーで、冷やし中華と並ぶ存在となっているのが、「ざる麺」である。


 地域によってはあまり販売されていないところもあるようだが、「特売日に大量に買って冷凍保存する」などという人もいるほど、家庭で食べるポピュラーな麺となっている「ざる麺」。いったいいつからこんなに浸透したのだろうか。
ざる麺でおなじみのメーカー・シマダヤに聞いた。

「ざる麺を発売したのは、16~17年前。もともと山形に『鳥そば』『ざる中華』など、冷たい麺の郷土食があるのをヒントにし、中華麺を和風つゆにつける商品を当社オリジナルで作ったものでした。それが徐々に定着してきて、近年は大きく売り上げを伸ばしています」
ざる麺はシマダヤがオリジナルでつくった食べ方ななのだそうだが、
「もともと麺には郷土食がたくさんあり、それを商品化というケースが多いんですよ」

ちなみに、「つけ麺」は「あたたかいつゆにつけるもの」、「ざる麺」は「冷たいつゆにつけるもの」とシマダヤでは区別しているのだという。


ところで、いつの間にかすっかりポピュラーになったざる麺の影響で、冷やし中華の売り上げが落ちていたりしないのだろうか。
「皆さんは購入する際、冷やし中華とざる麺とで迷うかもしれませんが……横に並べて売ると、数字的には特に変わらないんですよ。ただ、今年などは、梅雨明け宣言が早かったものの、その後グズグズの天気が続いていますよね? そうした気温の影響を大きく受けるのが、冷やし中華なんです。一方、冷やし中華に比べ、ざる麺はそれほど気温に左右されないという違いはありますね」
実際、ざる麺の売り上げは、昨年に対して今年が130~140%と好調なのだとか。

ところで、冷やし中華に比べて、ざる麺の「強み」はどんなところなのだろうか。
「冷やし中華は酸味がありますが、酸味はお子さんや男性に好き嫌いがあったり、酸味を欲する時期も、気温によって変わってきますよね。
でも、ざる麺はもともとざるそばの食べ方なので、誰でも食べやすいということもあると思います」

さらに気になったのは、もうひとつの指摘だ。
「冷やし中華は、錦糸卵をつくったり、ハム、キュウリを千切りにしたり、材料の準備が正直めんどう……という主婦の方などもいるのではないでしょうか。ざる麺だったら、具なしの方や、わざわざ盛り分けず、野菜などもざく切りで添えるだけという方もいるでしょうし」
確かに、「冷やし中華」はもともとイメージがあまりに定着しているために、「○○がないと~」と思ってしまう面はあるかもしれない。

手間いらず、材料いらずで飽きのこない「ざる麺」。今後ますます夏の定番になるかもしれません。
(田幸和歌子)