しかし、今度の戦いは勝てそうだ。なぜなら、決意表明のグッズ『現状打破』を手に入れたから。
これは卵の形をした真っ白い陶器で、現状打破したい願い、「難関」とか「限界」とか、を書き込む。そして、叩き割る! これで、“自分の殻を叩き割った”ということなのだ。
“壊すために買う陶器”、これは面白い! というわけで、発売元のサイキ一山陶苑に商品開発のキッカケをお伺いした。
「今は物が売れない時代なんですね。すでに皆さん、裕福になっていて物も持っている。そこで、新しい価値観が必要だと考えました」
「現代は、旧体制を壊して新体制がつくられる時代になりました。アメリカでも初のアフリカ系のオバマ大統領が誕生するなど、“壊して創造”する時代。その考えを精神的なものに求めました。物を壊すという行為は勇気のいることです。
そして、この商品のエラいところは、売りっぱなし・壊しっぱなしではないという点。壊して粉々になった殻を封筒に入れて同社に送ると、“現状打破祈願祭”を開催し、神社で祈祷してくれる。
封筒には「現状打破祈願ネーム」(公表してもいいニックネームのようなもの)を記入する欄が。祈願祭が行われた後、公式サイトにその名前がアップされる。これは、メーカー側による“責任を持って祈願しました”という誠意の表れ。現状打破祈願祭は、近々では9月に開催を予定。年に3~4回行われるという。
それにしても、メーカーによる“壊して創造”の精神は本物だ。というのも、購入者から送られてきた殻は、新たに同社で作られるマグカップなどに再利用される。元々、陶器を多数扱っていたサイキ一山陶苑では、回収した殻で新しい陶器を作る技術を持っており、この技術で陶器を輪廻転生させる。こういったシステムを皆に知ってもらいたいという願いも、この商品には込められているそうだ。
というわけで、私も決意表明してみました。
箱には「ネガティブな使用は禁止します」という注意書きが。誰かの悪口を書いて壊したりとか後ろ向きなことはやめようという意味だが、それはそうだ。ネガティブな使い方をした時点で、その人は自分に負けている。
ちなみに、私が書いた願いは「引っ込み思案」。仕事面でも恋愛面でも、どうしようもなく受け身体質で、みすみすチャンスを逃し気味の自分を改めたい。自分自身の士気を高めたいのだ。なんて、赤裸々に書いている自分が恥ずかしいのだが。
そして、「引っ込み思案」と書かれた卵形の陶器『現状打破』に、トンカチを振り落とす! すると、なぜか「やり遂げた!」という達成感が込み上げてきた。今、俺は生まれ変わった。
メーカーの担当者さんが「“壊す”という勇気のいる行為をした時点で、お客様の心の中で90%は実現されているんですよ」と仰っていたが、あながちウソではない。とうとう、これで自分の殻を破った。と、思いたい。
この商品は、全国のロフトの主要21店舗で8月15日より先行発売されており、価格は525円。
この『現状打破』で、自分への現状打破の宣言を。その上、祈祷というフォローも入る。「破壊なくして創造なし」と誰かが言ってたが、ここまでやったら新しい自分を創造するしかないだろう。待ったなしである。
(寺西ジャジューカ)