夏休みも終わりとはいえ、まだまだ暑い日々が続いている。

こんな時期は通勤、通学、仕事の外回り、お出かけなどなど、いずれもめんどうくさいものだが、特に困るのは、「目的地に着いた瞬間」である。


「暑い、暑い」と呟きつつも、歩いている間・動いている間はあまり汗をかかないのに、問題はその後、止まった瞬間にやってくる。
電車に乗ったとき、建物に入ったとき、訪問先で、それまで止まっていた汗が一気に押し寄せるように、ドッと噴き出してしまうのだ。
自分などは、昔はあまり汗をかかなかったのに、いまは人に会った瞬間や、慌てて乗った電車の中で汗がダラ~→ハンカチで拭くという状態になり、腹立たしい思いをする。
そんなときに思うのは、「なぜ歩いているときではなく、止まった瞬間に汗が出るのだろうか」ということ。実際に炎天下で動いている間はいちばん暑いのに……。なぜ? 都内のある皮膚科医に聞いた。


「歩いている間や動いている間に汗が出ないにもかかわらず、止まった瞬間に噴き出すというのはよくあること。理由は、“皮膚温”が上がるからですよ」
血液は、「使っている部分」に流れていく性質があるため、動いている間は、使っている筋肉のほうに血液がとられているのだとか。
「でも、立ち止まったり、動くのをやめると、筋肉が使われなくなるため、筋肉に血液が流れていかなくなります。そして、それまで筋肉に使われていた血液は、筋肉ではなく、皮膚のほうにいくんです。すると、皮膚温が上昇して、汗が出るんですよ」

実際に歩いているとき、動いているときなどは、風を受けているため、汗をかかないのではなく「汗をかいていることを感じにくい」ということもあるのだとか。
「歩いているときなども、実は皮膚の表面から、汗は少しずつ出ています。
でも、動いている間は蒸発しているから、あまり自分では気づいてないんですよ」

ちなみに、「汗をかきやすい場所も加齢とともに変わっていく」「大人になってから顔に汗をかきやすくなった」などという人もいるけれど、
「汗のかき方の性別、年齢による変化・傾向はわかっていません」

また、「顔ばかりが赤くなる」という人も多いけれど……。
「顔は血管が集まっている部位で、目や鼻、神経の過敏な器官が集まっているため、血流が良いところだということ。また、顔の皮膚は他の部位よりも薄いので、血管が浮き出て、血液の色=赤になりやすいんだと思いますよ」

立ち止まった瞬間に汗が一気に出てくるのも、顔ばかり真っ赤になるのも、仕方のないこと。少しでも防ぐためには、ゆとりを持って慌てず走らず行動……がいちばんのようです。
(田幸和歌子)