先日、海岸線を車で走っていて、ふと思った。こんな複雑な地形の面積って、どうやって求めるんだろう?  

円や台形くらいなら、小学生で教わった面積の公式が使えるのはわかる。
でも実際の地形は単純な公式に当てはまらない複雑なものばかり。うーん、学校で習ったんだっけ?

そこで国土交通省国土地理院に話を聞いてみることに。同院が毎年公表している都道府県や市町村の面積、どうやって計算しているんですか?
『全国都道府県市区町村別面積調』は、昭和63年10月1日時点で刊行されていた『2万5千分1地形図』に表示された海岸線と行政界に囲まれた地域を対象に計測しています」
2万5千分1地形図とは、全国をカバーしている地図としては最も縮尺の大きなもので、いわば国の基本図。空中写真や現地調査などの情報をもとに作られ、昭和58年に全国整備された(北方四島及び竹島は除く)。ちなみにそれまでは、5万分の1地形図が最大縮尺だったとのこと。

とはいえ、面積は毎年計測しているわけではない。
「昭和63年10月1日時点の面積を基本として、それ以降の変化を加減して算定しています」
えっ!? 都道府県や市町村の面積が変わることなんてありえるの?
「埋め立てにより新たな土地が生じたり、境界未定だったところが協議によって定まった場合などですね」
なるほど。たとえば富士山の頂上のように境界が未定な地域については、該当する県の面積に含まれていないのだという。

さて話を戻して、面積の求め方。2万5千分1地形図から面積を出す方法は?
「デジタイザという装置を使って地形図上のいくつもの点の位置(座標)を測定し、それをコンピュータに入力して計算しています」
つまり、地図を非常に小さな区画(四角形)にわけて、ひたすら一区画ずつ計算していくというわけ。実際の計算のところはコンピュータにまかせるとしても、なんとも気が遠くなりそうな作業だ。

最近の地図はあらかじめコンピュータでの計算が容易な形式(ベクトルデータ)になっていて、デジタイザでの測定は不要になっているようだが、いずれにせよ複雑な面積を測るには専門の知識や装置が必要。
誰でも簡単にできるというものではないことはわかった。

ただ、ある程度の誤差を許容できるなら、方眼紙などに地図を描いて、マス目の数を数えるというアナログな方法もある。私たちにとって現実的なのはこちらだろうか。いや、そもそも、複雑な面積を求める機会なんて、滅多にないのかもしれないけど……。
(古屋江美子)
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