オーディオ、パソコン、テレビそれぞれで音楽を聴いたとき、部屋によって聴こえ方が微妙にちがうと感じた人はいないだろうか。出力機器自体のちがいによる影響もあるだろうが、同じ曲なのに高低音の響きが異なるのがどうも不思議である。


「もしかして、部屋の形に原因があるのでは」と思い、早速音響機器会社のポーカロ・ラインに質問してみた。
――部屋の形、大きさは音に影響するのか。
「私たちの耳はスピーカーから直接届く音と、壁や天井で反射して届く音の両方を聴いているため、試聴する部屋の形状が音響に大きく影響します」

――具体的にどんな影響が。
「壁や天井で反射した音はスピーカーから届く音に比べて遅れて耳に届くために、本来のピュアな音を濁らせているのです」
「また、一般的な部屋では壁面、天井面、床面と平行した面が存在します。平行した面があると音はその間で行ったり来たりを繰り返して音に悪影響をおよぼす『フラッターエコー』が発生します」
「部屋の大きさは限りなく広く反射がないものがよいというわけでもありません。肝心の音のエネルギー感も失われてしまい、音の濁りはありませんが、これも決していい音とは言えません」

――どんな部屋が理想的?
「反射があってもその反射音をきれいに減衰させることができる形の部屋が音響的に理想的ですが、一般的な家屋ではそのような設計は非常に難しいですね」
――吸音効果の高い壁材や壁紙を貼ったらどうか。
「吸音効果の大きい材質の壁(厚手のクロスなどを貼った壁)は音の反射を防ぐことはできますが、必要な音も吸音してしまいます。逆に、反射が強い材質の壁(コンクリート、鉄板、ガラス面の壁)は反射が強くなり、響きが強過ぎてきつい音になりがちです」

――では、いい音を聴くための工夫は。
「当社が販売するarte/ピラミッドシリーズの音響パネルを部屋に設置することをお勧めします。吸音が主体の従来の音響パネルとは違い、拡散を主体としたハイブリッド音響パネルです。拡散(音を失わす事なく均等に散らす)と吸音のバランス構造は約7対3の比率になっています」
――どうしてピラミッド型?
「形状がピラミッド型なのはさきほど説明した平行面で起こりやすいフラッターエコーを簡単に処理できるからです」

――取り付け方は。
「付属のピンを使います。
ほとんどの既存の壁や天井に自分で簡単に取り付けできます。小さなピンなので取り外した跡が気になりません」
「床にスペースがなく自立型の音響パネルを設置できない、いかにも音響パネルですといった無粋なオーディオ的なデザインが嫌いといったユーザーにピラミッドはお勧めです。壁に絵画を飾る感覚で本格的な音響処理ができます」

音響効果だけでなくデザイン的に天井にピラミッドが貼り付いているというのは斬新でいいかも。
ということで、部屋でいい音を聴きたい人はいろいろ工夫してみてください。
(羽石竜示)
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