トイレに入っているとき、何をする? まあ、普通は何もしないだろうし、するとしても本を読むくらいだろう。

しかし、ここに一つ“折り紙”を加えてみてはもらえないだろうか? 林製紙株式会社が1月より発売している『トイレットペーパー折紙(ハート)』は、そんな風にオススメしたくなる逸品なのだ。


コレ、画像を見てほしい。トイレットペーパーの表面に、何かが描かれている。実は、これはハートの折り方。そして、この折り方を考案したのは、東大の折り紙サークル「Orist(オリスト)」である。

このコラボ、どういう経緯で実現したのか? 同社に伺ってみた。
「インターネットでOristさんの情報が掲載されていたんです。
そこには2~3点の作品が紹介されており、中でも最も目に付いた作品が『ハート』だったんです」
そうして、同社の方からサークルにアプローチ。めでたく、トイレットペーパーと折り紙のコラボレーションが実現した。

もうひとつ、ハートの折り方をプリントしたのには理由がある。それは、トイレットペーパーの折り方としては定番の“三角折”に起因する。
ある統計資料によると、外出先のトイレで使用後にトイレットペーパーを三角形に折る人は、約5人に1人。元々、この三角折はアメリカの消防署で考案されたもので、緊急時にトイレに入っている時に素早くペーパーを取り出すためにあらかじめ数回折っておいたのが始まり。
現在でも、メンテナンス業界で清掃後の合図となり、一般でもトイレのマナーとして広まっている。
しかし「他の折り方で折る」という可能性を、未だ誰も模索していない。形は意味を成し、そして、メッセージを送る事だってできる。その手段として、トイレットペーパーを用いた。これで、ただの三角折が“顔を合わさなくても伝えられるメッセージ”となったではないか。もはや、新しい文化!

ちなみに、同社のウェブサイトを見てみると、これまた面食らう。
というのも「こんなトイレットペーパーが、世の中にあったのか!」、そんな思いを抱かせるに十分なレパートリーの数々が紹介されているのだから。

中でも、同社のイチオシペーパーは、2年前に発売された『メジャー付きトイレットペーパー』。メタボが気になる方に、ズボンやスカートを脱いだついでに、お腹周りを測ってみては……、と推奨するようなアイデア商品(?)となっている。このトイレットペーパー、発売以来ずっと高い人気を誇っているそうだ。
もうひとつのオススメは、昨年の夏に発売された『鈴木光司のドロップ』。これは、トイレットペーパーに鈴木光司作のホラー小説が書かれたもの。
使えば使うほどに、ストーリーも進んでいく。これじゃ、トイレに入り浸ってしまいそうで、そういう意味でも怖い。

こういった“おもしろトイレットペーパー”を同社が製作するようになったのは、4年前からだという。それにしても、どうしてこんなことを……? 
「元々、当社は昭和30年からトイレットペーパーを扱っている会社なんですが、業界の中でもニッチなこと、他ではやらないことをやって、トイレットペーパーに今までにない付加価値を付けたいと考えました」

そんな思いで製作された新作が、今回の『トイレットペーパー折紙(ハート)』である。現在は東急ハンズ、ロフト、ヴィレッジ・ヴァンガード、または同社のサイトで発売されており、希望小売価格は120円(税抜き)。

このトイレットペーパーを、もし使ってみたとする。
昨晩、奥さんとケンカした旦那さんが、トイレットペーパーをハートに折ってから出勤。その後、トイレに入った奥さんがハート型になっているのを発見……。まるで『イエスノー枕』みたいな使い方だってできるのかもしれない。
(寺西ジャジューカ)