生チョコ、生キャラメルを筆頭にブームが続いている“生”系のスイーツたち。最近は、「生プリン」「生チーズケーキ」「生コンフィチュール」「生大福」なるものまであるらしく、厳密には火を通しているものも多いが、ようは「生っぽい」クリーミーでとろっとした食感が好まれているということなのだろう。
ネーミングに“生”とついているだけで「できたて、フレッシュ」な印象を受けることは確かで、“生”はスイーツをヒットさせる魔法の言葉になりつつあるのかも……。

そんな“生”系の中で、今年最大のヒットになりそうなのは、なんといっても『ラブスウィーツ アンティーク』の『とろなまドーナツ』である。「焼いても揚げてもいない、冷やして固める新食感ドーナツ!」というふれこみで、今年3月3日のひなまつりに名古屋の『近鉄パッセ』に初お目見えし、全国のスイーツ好きの話題を集めているのは御承知の通り。

大きさや形状はドーナツなのに、“生”ってどういうこと?? となんとも好奇心をそそられる。私も行列に並んで「4個入り」をゲットしてみたところ、「イチゴ」「クリームチーズ」「キャラメル」「ショコラ」というラインナップ。表面がつやつやで、まるで宝石のよう……。
うっとり眺めた後、ピンクが愛らしい「イチゴ」をチョイス。スポンジケーキの上にイチゴ味のムースがのっており、ドーナツというよりケーキのような味わいだった。

これはもう、味もさることながら、形状とネーミングの勝利といえるかもしれませんねー。「とろなまドーナツ」ではなく、たとえば「ムースドーナツ」とか「クールデザートドーナツ」なんていうネーミングだったらここまではヒットしなかったかも……。スポンジ以外は火を加えていない文字通りの“生”ということで、ドーナツの定義とは何ぞや? としばし考えてしまった。

製造元のベーカリー「ハートブレッドアンティーク」に問い合わせてみたところ、元々、同店の看板商品に「天使のチョコリング」というのがあり、リング状のスイーツが得意だったこと、また、最近“半熟カステラ”を火付け役に、スイーツ界では“生”に加えて“半熟”がブームになっており、やわらかめの食感が好まれていること、さらにここ数年、ドーナツも注目を集めていることから開発されたそうだ。


発売以来、どこの店舗も長蛇の列が続いており、お客さんが好きなものをひとつひとつ選ぶ方式だと待ち時間が大変なことになってしまう……という配慮から、現在は4個~6個入りの「おすすめセット」のみを販売しているのだとか。ちなみに、数あるテイストの中でも好評なのは「ショコラ」味で、これは今後も定番になるでしょうとのこと。さらにさらに、6月26日(予定)には、東京・青山に全国で4軒目となるショップもオープンするそうで、ブームはますますヒートアップしそう!?

それにしても、このままいくとすべてのスイーツが“生”化するのでは……という予感が。たとえば、「生ワッフル」「生マカロン」「生マシュマロ」「生かりんとう」「生ようかん」「生あまなっとう」(これはちょっと違う?)とか……どうでしょう? おいしそうな感じします? 今後もスイーツの“生”化がどこまで進むのか、成り行きを見守っていきたいと思います。
(まめこ)