一見地味で目立たなさそうな青年が、文系女子の「好きっ!」を集めつつあるのだ。
なぜ? そもそも星野源って誰?
松尾スズキ主宰、阿部サダヲや宮藤官九郎が所属する人気劇団・大人計画の俳優で、連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」にも出演。インストバンド・SAKEROCK のリーダーで、ギターやマリンバを演奏。自身のバンドのPVや、舞台音楽も作っている。執筆業も行っていて、「POPEYE」、「TVBros.」(細野晴臣と共同)などで連載。著書に『そして生活はつづく』、『ばらばら』(写真家平野太呂とのコラボ、CD付き)がある。
今年6月には、アルバム「ばかのうた」でソロデビュー。
9月4日のフリーライブ「DOCOMO CONCERT×J-WAVE GROW GREEN PROJECT」出演や、「星野源の挨拶まわりツアー2010」などを予定している。
ファンの間でポイントが高いのが、笑顔だ。笑うとなくなってしまう目と、きれいな三角形で口角がクイッと上がった犬口(と勝手に命名。トライセラトップスの和田唱も該当)が、かわいらしさといい人オーラを全開にしている。
服装はシャツ+カーディガン、またはシャツにジーパンが多く、シャツのボタンは1番上まで止めていることが多い(ここが重要)。
著書『そして生活はつづく』では、携帯電話の料金支払いがうまくできなかったり、箸選びで何日も悩んだり、洗面台をビシャビシャにしてしまうなどの微笑ましい一面も見られる。
「それ、穂村弘じゃん」。
ある人に本の内容を説明していたら言われた。確かに、『現実入門』に似ている。“不器用な自分”を確信犯的に書き、女子の心をくすぐるところが。
違うのは、“穂村さん”が挑戦するのは献血や合コンなどネタ的要素が強かったのに比べて、星野源の場合は内容が地味すぎることと、役者、ミュージシャン、文筆業、映像作家と、2足どころか何足のわらじも履いている器用な面も持ちあわせていることだ。
毒気を持っていることも忘れていけない。親交のあるバナナマンのラジオに出演したときのことだ(ポッドキャスト「バナナマンのバナナムーンGOLD」5月14日分に収録)。日村の誕生日だったので、バースデーソングを披露。そのぶさいくな顔でいままでやってきたのはすごい、という旨の歌詞をいい声で唄い、笑いを誘った。
最後に、周囲の文系女子に語ってもらった星野源の魅力を紹介する。
「声がいい! 表現者なのに控えめなところがいいし、常にユーモアを忘れないところも。あと、笑顔がかわいい。カーディガンとかモコモコマフラーを着用しちゃう天然小悪魔なずるい部分も好きです」(ファン歴4年)
「ライブ中に微笑みながらハマケン(SAKEROCKのトロンボーン担当)の暴走を見守る姿は、ずるいなあと思いながらも惹かれてしまう。笑ったときの口も好き。あのぼそぼそとした声もいいです」(ファン歴1年)
女子に「ずるいけど、好き」と言わせる素朴パワーから、目が離せない。(畑菜穂子)