カセットテープ。
今も現役で使っておられる方もいらっしゃると思いますが、MDやCD-R、ひいてはiPodのような大容量メモリ型の再生機器が広がり、今となっては使う機会のあまりないメディアです。

ところが、あえてそこに戻った音源が発売されます。
それが『「けいおん!! 」劇中歌集 放課後ティータイム II 初回限定版』です。
と言っても音はやはり綺麗に聞きたいもの。音楽本体は二枚組のCDにきっちり収録されています。初回限定版のみ、CDのおまけとしてカセットテープがついてくるのです。しかもモノラル録音。

ネットではすでにかなり話題になっており「カセットテープ再生機を買ってこなければ!」という人が続出中。意外な形でラジカセの売上が伸びる可能性が大という不思議な事態に陥っています。

アニメを見ていない人には何が起きているのかさっぱり分からないと思います。綺麗な音のCDがあるのに、なんであえてカセットを付けるのか?
実は「けいおん!!」23話で、このカセットが登場するからです。
卒業の前日に、ふとした思いつきで軽音部の少女たちが突然、私たちの記録、という名目でカセットに演奏を録音するシーンがあるのです。今まで軽音部でやってきた曲を全部録音しよう!と。

思いつきなのでカセットレコーダーもろくなものがなく、近くにあった適当なモノラルレコーダー。テープもそのへんにあったもの。

いやあ……この感覚、30代以降の人間にはものすごくリアルなんじゃないでしょうか。カセットを逆さまに入れて、しかも録音と再生のボタンを二つガチャン!と押すタイプのレコーダーですよ。その後録音消えないように爪を折っておいたりね!
だからこそ、この特典カセットはモノラルなんです。綺麗なアルバムとしての音はCDで聞けばいい、モノラルで生々しい彼女たちの記録そのものをカセットで聞けることに意義があるのです。

また、「けいおん!」シリーズでは、タイトルアイキャッチでもカセットテープの絵が出てきます。実際、彼女たちMDとか使いません。彼女たちの青春にハイテクという語は(唯のTシャツのロゴ以外に)存在しないようです。
通常版はCDのみの販売になっていますので。これは完全に「けいおん!」シリーズを見続けてきた人のためのファンアイテム。ある意味とても合理的とは逆ベクトルのコレクターアイテムです。


とはいえ、卒業の前日に録音したそのカセットが、実は昨年度の「けいおん!」のアイキャッチに使われていたものと同じとわかったら、物欲をくすぐられるじゃあないですか、彼女たちの宝物、手元に置いておきたいじゃあないですか!
なかなか乙なことをたくらんでくれるものです。以前も「らき☆すた」で演歌のカセットを販売して話題になりましたが、今回は音質をあえて悪化させて劇中を再現しており、さらに本格的。予約が殺到し、パンク状態の店もあるほどの人気っぷりです。
デジタルレコーダーもいいですが、たまにはカセットで自分達の声や演奏を録音してみるのも、楽しいかもしれませんね。

いくよー、ガチャッ。(たまごまご)