これは、バーバラ・レーマンというアメリカ人の著書で、1938年から続く、アメリカで最も権威のある児童書のための賞=コールデコット賞の銀メダルを2005年に受賞した、名作絵本のこと。実は、『THE RED BOOK(レッド・ブック)』というタイトルがある。
でも、アメリカ版の表紙カバーには、その題名が一切書かれていない。描かれているのは、赤い本を持った女の子のイラストだけ。そして裏表紙には、同じように男の子のイラストとバーコードのみだ。
ちなみに、背表紙とカバーをめくった本体に、『THE RED BOOK』の文字が書かれているのだが、私が手にとったアメリカの書店では、カバー付きで平積みされていたので、最初、タイトルがわからず、いったい何の本なのだろう? と思った。
さらに、家でも棚にさしておいていなかったためか、私が背表紙に題名が書かれているのに気づいたのは、つい最近のこと! それだけ表紙のイラストのみというのが、インパクトも大きく、新鮮だったのだ。その女の子のイラストもバーンとまん中に描いてあるのではなく、端のほうにあって、バランスも絶妙!
そして、物語にも文字はなく、イラストのみですすんでいく。物語はというと、表紙に描かれている女の子が雪に埋もれていた赤い本を拾ったところからはじまり、裏表紙に描かれていた男の子も同じように、別の場所で赤い本を拾って読みはじめて……。
読み終わると、不思議な気持ちになってくる、ちょっとした仕掛けのある絵本になっている。イラストのみだけれど、大人が見ても十分楽しめるはず。それに、文字がないので、子どもにはかえって難しいのかもしれないが、自分が子どもの頃に、もしこの絵本に出会って読んでいたら、今よりもっと想像の世界が広がっていたのでは、とも思った。
ちなみに、日本でも翻訳版(とはいえ、物語に文字はないので訳されているのは作者のプロフィールくらい)も出ているのだが、これには表紙にも題名が書かれているのが、ちょっと残念なところ。とはいえ、中身は変わらないので興味がある人は一度、ぜひ読んでみてほしい!
(田辺 香)
でも、アメリカ版の表紙カバーには、その題名が一切書かれていない。描かれているのは、赤い本を持った女の子のイラストだけ。そして裏表紙には、同じように男の子のイラストとバーコードのみだ。
ちなみに、背表紙とカバーをめくった本体に、『THE RED BOOK』の文字が書かれているのだが、私が手にとったアメリカの書店では、カバー付きで平積みされていたので、最初、タイトルがわからず、いったい何の本なのだろう? と思った。
さらに、家でも棚にさしておいていなかったためか、私が背表紙に題名が書かれているのに気づいたのは、つい最近のこと! それだけ表紙のイラストのみというのが、インパクトも大きく、新鮮だったのだ。その女の子のイラストもバーンとまん中に描いてあるのではなく、端のほうにあって、バランスも絶妙!
そして、物語にも文字はなく、イラストのみですすんでいく。物語はというと、表紙に描かれている女の子が雪に埋もれていた赤い本を拾ったところからはじまり、裏表紙に描かれていた男の子も同じように、別の場所で赤い本を拾って読みはじめて……。
読み終わると、不思議な気持ちになってくる、ちょっとした仕掛けのある絵本になっている。イラストのみだけれど、大人が見ても十分楽しめるはず。それに、文字がないので、子どもにはかえって難しいのかもしれないが、自分が子どもの頃に、もしこの絵本に出会って読んでいたら、今よりもっと想像の世界が広がっていたのでは、とも思った。
ちなみに、日本でも翻訳版(とはいえ、物語に文字はないので訳されているのは作者のプロフィールくらい)も出ているのだが、これには表紙にも題名が書かれているのが、ちょっと残念なところ。とはいえ、中身は変わらないので興味がある人は一度、ぜひ読んでみてほしい!
(田辺 香)
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