以前、ブライダル関係の記事を書いた際に、取材先から「“できちゃった婚”を“おめでた婚”に訂正していただきたいのですが……」と言われたことがある。確かに、「できちゃった」という言葉には「つい、うっかり……」みたいなニュアンスがあり、ブライダル業界的にはマイナスイメージを払拭して、妊婦さんにもあきらめないで挙式してもらえれば……ということなのだろう。


最近は芸能人の結婚報道にも、交際のきっかけや入籍の予定などをひと通り報じた後で、「なお、●●さんは妊娠はしていないという」とわざわざつけ加えることが多く、これなども結婚と同時に妊娠を発表する芸能人がいかに多いかということを象徴していると思う。最近のでき婚報道だと、木村カエラ&瑛太のカップルが記憶に新しいところ……。

厚生労働省が02年に発表したデータでも、今や4人に1人ができ婚という時代。そこで驚くのが、ブライダル業界における「できちゃった」に代わる言葉である。「おめでた婚」「授かり婚」は想像の範囲だが、「エンジェル婚」「Wハッピー婚」なんて呼び方まであるのだとか。“Wハッピー”とはいくらなんでも、という気がしなくもないが、一方ではよく思いつくものだと感心も。

また、最近は妊婦さんの体調や負担に配慮したウェディングプランも充実しているという。『ママリッジ』(ママ+マリッジ=ママになって結婚することを表現する新しい言葉だそう)なるサイトを運営するウェディングプロデュース会社の『ラディーブ』にお話を伺ってみたところ、ママリッジのスタートは2004年からとのこと。

一般的な式場とは異なり、ラディーブの場合は特定の施設を持たず、プロデュースが専門のため、そのぶん妊婦さんの体調や希望に応じた挙式が可能になるのだとか。「写真だけ撮りたい」という人もいれば、「自宅で挙式をしたい」という人、さらに「大使館職員なので、大使館で挙式をしたい」というカップルも過去にいたとのことでビックリ。いずれの場合も、ママリッジでは助産師の教育を受けた専門のスタッフがついてくれるそうで、まさにいたれりつくせり!? やはり利用者は増加傾向にあるのでしょうか? と聞いてみたところ、

「当社のデータだけですと、むしろ減少傾向にあります。最近はホテルでも妊婦さん専門のプランを扱うところが増えましたし、それだけ選択肢が増えたということではないでしょうか。
お問い合わせをしてくださるお客様にも、昔のような心理的な抵抗感はなくなっていると感じます」とのこと。さらに、マタニティ用のウェディングドレスや、披露宴で生まれてくる子供の名前を発表したり、メッセージを読み上げるなどの演出ももはや一般的なものになっているという。

というわけで、昭和の頃!? は花嫁のお腹にすでに子供がいたとしても、そのことにはスタッフも参列者もまったくふれず、話題にするのがタブーな雰囲気すらあったものだけど、時代は変わったんだな~としみじみ。ネット上では何かと批判されることの多い“でき婚”だけれど、今さら誰も驚かないし、珍しくなくなっていることも事実。結婚や出産のありようも多様化している今、いずれこの言葉自体が死語になってしまう日も近いのかもしれない。
(まめこ)
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