なぜか、落ち着く場所ってないだろうか? 「なぜか、本屋が落ち着く」「CD屋にいると落ち着く」「美術館にいると……」などなど、人それぞれ。
しかし、私は何と言ってもこれだ。
「トイレにいると落ち着く」

意外とそんな人は多いらしく、だからこそこの機関は興味深い。東京都港区に存在するのが、その名も「日本トイレ研究所」。

成り立ちは、約25年前に遡る。当初は、公衆トイレにまつわる問題(衛生面など)を解決するための活動を行っていたが、09年10月にNPO法人「日本トイレ研究所」として認証された団体。

そんなトイレ研究所の活動の一つに、王子ネピア株式会社と共に小学生低学年向けに実施している“トイレ教育”がある。
この“トイレ教育”は、正式には「うんち教室」とネーミングされており、研究所の加藤篤代表が小学校に出向いて特別授業を開講。そして、その際の加藤代表の格好がイカすのだ。
画像の通り、王冠とマントをまとって扮装。この姿の時、代表は“うんち王子”を名乗っており、うんちの大切さや健康との関係を指導する。

また、その授業内容が非常に幅広い。たとえば、学校にはまだまだ多い和式トイレ。家庭内にある洋式トイレに慣れた子ども達に、和式トイレでの注意点(的を外さないうんちのやり方など)をアドバイス。

他にも、どんなうんちの状態だと健康なのか? 「食事の内容」「元気に遊んだか」が、うんちの状態にどう影響するのか? これらを“うんち王子”がわかりやすく説明してくれる。

また、「うんち教室」で使用される教材には、同研究所の様々なキャラクターが登場する。“ヨーデル星”からやってきた「ウンコビッチ博士」。女の子の「ブリットニーちゃん」。犬の「ウンコロ犬」(鳴き声は「ウンウン!」)。色々な形と状態を表した、うんちたち(「キラキラうんち」「カチカチうんち」「ドロドロうんち」「ヒョロヒョロうんち」)。彼らがテキストに登場するので、子ども達も楽しく勉強できる。

2009年4月には、研究所が制作した『うんちっち! のうた』なるCDも発売されている。
曲の歌詞には「朝ごはん よくかんで食べたら うんち うんち うんち うんちっち」、「キラキラうんちは健康うんち おしりを拭いても汚れない」、「カチカチうんちは野菜ぶそく うさぎのうんちに似ているよ」と、“元気なうんちを出そうね!”というメッセージが込められているのだが、作詞を担当したのは研究所の加藤代表。完成度は非常に高い。
また、カップリングには英語バージョンの『Poo‐Poo Song(プープーソング)』も収録され、研究所の「思いが世界に広まってほしい!」という願いが込められた。
このCDはホームページより購入が可能。
価格は1,000円(税込み)。

そして11月10日が「いいトイレの日」に制定されているのは、ご存知だろうか? 研究所では、この日に毎年さまざまなイベントを開催する。
昨年は、「トイレ美術館」なる企画が行われた。これは、表参道ヒルズの横にある公衆トイレを“美術館”に様変わりさせたもの。8人のプロのアーティストが参加しており、それぞれが「トイレに愛を。」をテーマに作品を制作。公衆トイレ内に展示した。
たとえば、日比野克彦氏は陶板アートを。ひびのこづえ氏はワイヤーアートを。他にも風景写真だったり、書だったり……。これらの作品によって、トイレへの意識の変化を促す。
そんなコンセプトを端的に表す作品が、田中偉一郎氏の『トイレの神』だろうか。トイレットロールに目を付け、トイレの神をイメージさせる。
「もし汚したとしても誰も見ていないトイレの中。それを見張っている“神様”」が、テーマだ。

当然、今年もイベントは開かれる。「ラゾーナ川崎プラザソル」で開催される、その名も「トイレに、愛を。フォーラム2010」。
ここでは、まず「トイレから健康を考える」をテーマに、睡眠・食・運動・排泄の専門家によるリレートークが行われる。
もう1つは、“トイレで読む壁新聞”『un・un(ウンウン)』の創刊。記事の内容は、トイレにまつわることや、健康に関すること。これらの詳細についてが、大々的に発表される。

……と、盛りだくさんの活動歴を誇る「日本トイレ研究所」。
他にも、「トイレットペーパーの1日の使用量」などのデータが収集されており、現在は情報としての確実性を強化している最中。“研究所”の名に違わぬ活動だ。


また新たな動きがあったら、ご報告したい。
(寺西ジャジューカ)
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