トイレに入るとき、小説なり雑誌なりを持ち込む人は多い。中で読むのだろう。
それなら、このトイレットペーパーはいかがだろうか? 読めればの話だが……。

三重県伊賀市の「上野印刷」が発売している『伊賀流忍法 虎之巻』(400円)は、トイレットペーパー。そして表面には、忍者同士が暗号に用いたとされる「忍者文字」が印刷されているという。

それにしても「忍者文字」の詳細が知りたい。同社に伺ってみた。
「日本には、漢字が伝来する以前に“神代文字”という文字が存在したそうですが、戦国時代には解読できる者がいなかったんです。忍者はその文字を利用していて、連絡手段に使っていました」
この“神代文字”、忍者が使っていただけに「忍者文字」と名付けられた。

そして、昨年末から伊賀市の上野商工会議所では、町おこしの一環として「忍者文字」の普及を行っているという。たとえば、伊賀市の街並みに並ぶ商店の看板を忍者文字にしたり、忍者文字の焼印が押された和菓子を販売したり……。

そこで、同社も“印刷屋”だからこそできる忍者文字の普及法を考えてみた。結果、到達したのは「トイレットペーパーに忍者文字をプリントする」というアイデア。
「トイレットペーパーには、忍者文字を50音順にして印刷しました。
これを読んで、皆様に修行していただきたいと考えております」(担当者)

私も修行するために、トイレットペーパーを取り寄せてみた。そして、マジマジと忍者文字を眺めてみる。読めない。消しカスが、無作為に放られてるみたいな……。クネっとした数本の線が、何かを形どっているのはわかる。

しかし、これはれっきとした文字。
「忍者文字は難しいので、パッと読める人はそんなにいません。読んで理解していただくというよりも、何回も見て覚えていただくのがいいと思います」(担当者)
ロールがなくなるまでは、繰り返し見て覚えていけばいい。使い終わった頃には、忍者文字の達人になっているだろうか。

『伊賀流忍法 虎之巻』は8月22日より発売されており、伊賀市内のお土産店や、同社のホームページで購入することができるという。

また、伊賀市が先導する町おこしの力の入れようも尋常ではない。
特に興味深いのは、毎年4~5月に市内で開催される「伊賀上野NINJAフェスタ(ニンジャ・フェスタ)」。
期間中は、役所や銀行の窓口の係員、はたまた市議会議員の方々が、忍者の衣装で勤務しているというのだ。

市内を、お堅い職業の忍者たちが闊歩……。さすが、伊賀市である。
(寺西ジャジューカ)
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