今回は「HYSTERIC・D・BAND」という脚本家・渡辺啓と俳優・平沼紀久のコラボユニットの旗揚げ公演でもあり、客演の役者もそうそうたる実力派ぞろい。「テニスの王子様」で乾貞治役などの声優もこなす津田健次郎や阿佐ヶ谷スパイダースの伊達暁、さらにはNHK連続テレビ小説「やんちゃくれ」で主人公を演じた小西美帆や「ウルトラマンネクサス」の主演、川久保拓司なども起用した。
じつは平沼とHAKUEIは「漫画兄弟」というユニットで「納豆侍 まめ太郎」という絵本を出版した仲でもあるが、HAKUEIにとって芝居、それも舞台となると1998年のロックオペラ「ハムレット」以来。シアターモリエールのサイズとなると、普段のライブよりも遥かに近い距離で、生の姿を見られるのだからファンとしては、よだれダラダラ状態に違いない。
舞台になるのはコーサ・ノストラという名のマフィア組織。「10の掟」によるかたい結束のもと街に長く君臨してきた。だがある日、トップのカポが死んだことでファミリーひとりひとりの愛、野心、絆、名誉についての解釈の違いが浮き彫りに。絡み合う思惑と、謎を解くたびに生まれる新たな謎。舞台は疾走感と“タメ”を往復しながら進行する。そして複雑に張り巡らされた伏線を回収しきったとき、舞台上の緊張感は一気にほどけ、エンディングへと一気になだれ込む……。