福井県のアンテナショップ「ふくい南青山291」に行ったときに、オススメ品として紹介されていたのが「水ようかん」。
「水ようかん」は夏の和菓子をイメージさせるが、聞くところによると、福井県では冬に、コタツに入ってみかんではなく、水ようかんを食べるらしい。
同ショップでイチオシ商品の『えがわの水羊かん』の販売時期も11月から3月となっていた。

「ふくい南青山291」の館長・井上義信さんいわく、「冬場には各家庭の冷蔵庫に常備してあって、給食にも出る」!? とのことだが、どうして冬に食べるのか。

井上さんが一説として語ってくれたのは、「隣の京都へ丁稚奉公に行っていた見習いさんが、暮正月の帰郷の際、お土産として水ようかんを持ち帰って食べていたのがはじまりで、それが風習として残ったのではないか」というものだ。『えがわの水羊かん』に同梱されている印刷物にも、「大正・昭和の頃、丁稚(でっち)さんが里帰りの折りに食べた和菓子」とあった。別名で『丁稚ようかん』とも呼ばれるらしい。

ほか、調べてみると、お土産としたのは練りようかんで、当時はぜいたく品だったこの和菓子を水で薄めてつくりなおして食べていた説や、逆に丁稚の家族がお土産として奉公先に持っていかせた説など諸説あり、明快な回答は得られなかった。


いずれにせよ、福井県で広く親しまれているという『えがわの水羊かん』を食べてみることに。コタツはないけど、あたたかくした部屋で。水ようかんの水分は多めで、黒砂糖を使用しているので甘みもやわらかい。さっぱりした味わいでウマい。また、あたたかい部屋で冷たい水ようかんもなかなかいいものだった。
『えがわの水羊かん』は、保存料などの添加物を一切使用していないので、消費期限は冷蔵で5日。
福井の水ようかんの特徴、「糖度が低く、素材がシンプルで日持ちしづらい」というのも、気温が低い冬場で食べられる理由のひとつと言われている。

水ようかんは、板状の大きな1枚の状態で入っていて、木べらで切って掬う。この形状も新鮮だった。切れ目の有無の違いはあれど、このスタイルは他の商品も一般的だそう。
是非、「あたたかい部屋で水ようかん」をお試しあれ! ただし、この板状だと、バクバクと食べ続けてしまう“危険”もはらんでいるので、そこは気をつけてほしい。
(dskiwt)