11月22日といえば「いい夫婦の日」。その起源は20年以上前にさかのぼることもあり、語呂合わせの記念日とはいえ、普段何気なく生活を共にする仲を年に一度見つめ直すという意味でかなり定着してきたように思われる。
そんなこの日、夫婦仲を見つめ直す究極の行為に革命をもたらすかもしれないある一曲がベールを脱いだ。その名は「離婚式ソング」だ。

せっかくの日に縁起でもないことを、などと思うなかれ。婚活が一般的になってきている一方で「リカツ」なる言葉も生まれるなど、離婚もかつてと比べてそれほど特別な事象ではなく無くなっているのが現状。読者諸兄諸姉の知り合いにも最低一人くらい、離婚経験者がいるのではないだろうか。そんな日常茶飯事になっている行為を、なるべくポジティブな形で収めたいと考える風潮が生まれても何らおかしくないともいえよう。その流れがこの「離婚式ソング」の誕生につながったというわけだ。

「離婚式ソング」をプロデュースしたのは、以前当コネタコーナーで取り上げた日本初の「離婚式プランナー」、寺井広樹さんだ。

直近11月21日までに53組の離婚式をプロデュースしてきたという寺井さんは、結婚式には定番のウエディングソングがある一方で、離婚式にもそれに相当する歌が必要と感じていた。これまでに「離婚式でぜひ歌わせてほしい」と自作曲を持ち込んで式で歌うケースはあったそうだが、離婚式をよく知る人間が作ったほうが一番響くのではないかと思い立ち、結局寺井さん自らが作詞。今年8月にバンド「ヘチマ流星群」を結成し、ベース担当の米国人アーティスト・泥流(デール)さんが曲をつけて、この日の披露となった。

詞には、離婚式で“最後の共同作業”として行う結婚指輪のたたき割りのに臨む二人が、これまでの夫婦生活を回想する様子が描かれている。
また、指輪を叩くハンマーの音が伴奏の中に盛り込まれている。

曲の演奏時間は2分4秒。これは厚生労働省が発表した2009年度の離婚件数にちなんでいる。1曲聞いている間に1組、日本のどこかで離婚届を役所に提出しているというわけだ。寺井さんは「結婚・離婚の意味を考えるための時間になれば」との思いを込めたという。ちなみに2010年度の離婚件数が変わったら演奏時間もこれに合わせて変えるという。2008年度は2分6秒に1組だったそうなので、曲もどんどん短くなるのではないかと寺井さんは予測する。

離婚式ソング披露となった東京・下北沢のイベント会場には、実際に離婚式を経験した人や新婚カップルらが集まり、「ヘチマ流星群」の演奏に聞き入った。客席からは「ポジティブになれる」との声が上がるなど、評判は上々の様子。あまりのポジティブさに、離婚ソングが離婚を踏みとどまるきっかけにもなるのではないかとの声も聞かれた。

この離婚式ソング、「ヘチマ流星群」の公式サイトにて無料で視聴できるほか、YouTubeでプロモーションビデオも公開されている。
(足立謙二/studio woofoo)
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