えー、なんか年末企画として「エキレビライターによる2010年私的ベストテン」を書けと言われたので書きます。

僕のベストテンは「1000円以下で遊べるダウンロードゲームベストテン」! 振り返ってみると、2010年は僕にとって、パッケージとダウンロードの比率が逆転した年でした。


ゲームライターという職業柄、人よりゲームにお金を使う方ではありますが、いざベストテンを決めようと今年遊んだゲームをリストアップしてみたら……あ、あれ? なんかダウンロードゲームの方が多い! 「今の若者は音楽CDを買わない」とか言われてましたが、いつのまにかゲームもそうなっていた! まあ、パッケージは単価が大きいんで、使った金額だとまだまだパッケージなんですけどね。

ダウンロードゲームを取り上げようと思ったもうひとつの理由は、単純に面白いから。ダウンロードゲームって、シンプルな分アイデアやセンスで「おおっ!」とうならせてくれるのが多いんですよ。今のパッケージ市場って、どうしてもお金のかかった大作に偏りがちで、冒険的なゲームってなかなか受け入れられにくい。今や尖ったゲームはみんなダウンロードに流れちゃったといってもいいくらいです。

そんなわけで、なかなかバカにできないダウンロードゲームの世界。それではさっそく、僕のベストテンを発表します!


1位 「Minecraft」(PC/無料~)
2位 「Angry Birds」(iPhone・iPad・Android/115円~)
3位 「プラントVSゾンビ」(PC・iPhone・iPad・Xbox 360/350円~)
4位 「Braid」(PS3・Xbox 360・PC/800円~)
5位 「Flowery」(PS3・800円)
6位 「ポケットベガス」(iPhone/無料)
7位 「ロックマン10 宇宙からの驚異!!」(Wii・PS3・Xbox 360/1000円~)
8位 「マリシアス」(PS3/800円)
9位 「ディシプリン*帝国の誕生」(Wii/800円)
10位 「Sumotori Dreams」(PC/4.5ドル)



1位の「Minecraft」は、いま海外でもっともホットなインディーズゲーム。わずか数人のチームで開発されたにもかかわらず、約240万人がアカウントを登録(無料)、そのうち3割にあたる75万人が有料版を購入しているという化け物タイトルです。
内容は、えーと、すげえ説明しづらいんですが、「神様になって、好きな箱庭を作れるゲーム」ってことでいいのかな。崖を切り崩して秘密基地を作るもよし。石ころを並べて巨大な地上絵を作るもよし。中には原寸大の地球を再現しようとしてる人とか、本物の16ビットコンピュータをゲーム内で再現しちゃった人とかもいて(ホントに演算可能らしい!)、その発想と根気にビックリするやら呆れるやら……。

ってか「仮想世界の中にコンピュータ作っちゃうとか意味がわかんなすぎて怖い」って言ったら誰も賛同してくれなかったんですけど、なんか底知れぬ怖さを感じるのは僕だけですか?


2位は、レビューでも紹介したChillingoの「Angry Birds」。Chillingoと言えば、10月にリリースされた「Cut the Rope」も面白くて、今年のiPhoneゲーム界はChillingoが全部かっさらっていってくれた印象です。こっちもいずれレビューしたいなぁ。
「Angry Birds」の方もあれからダウンロード数はさらに伸びて、有料版が1200万回、無料の「Lite」版も含めると合計4200万回もダウンロードされているとか。うへー、もう好きにしちゃって下さい……。


3位は「プラントVSゾンビ」。これ、PC版はけっこう前から配信されてたんですが、僕は今年はじめにリリースされたiPhone版でハマりました。
「裏庭にゾンビが攻め込んできたぞー!」「じゃあ植物を植えて撃退だー!」ってな感じのノリが思いっきりツボ。そのくせ作りはものすごく丁寧で、遊び始めるといつのまにか3時間とか経っちゃう時間泥棒ゲームです。エンディングの歌もかわいくて良かったなぁ。


4位の「Braid」は、最終面の仕掛けにとにかく度肝を抜かれたゲーム。まだ遊んでない人はなるべく一切情報を仕入れず、まっさらな状態で味わってみてください。
最初は「なんかショボそう……」だったのが、やがて「ああっ、こういうゲームか!」になり、「ええっ! えええええええ!?」とか「あああああああわかったこれだあああああ!」になっていく。動画サイト全盛の昨今、「自分で買ってプレイしないと損」と言い切れる珍しいゲームです。


5位はPS3で配信中の「Flowery」。発売されたのはずいぶん前ですけど、なんか年に数回くらい、ふとまた遊びたくなる時があるんだよなぁ。
風にそよそよと舞う花びらが主人公で、まるで「草花が見てる夢」をそのままゲームにしたような内容。これまでいろんなゲームを遊んで、いろんな人やキャラクターになりきってきたけど、花びらの気分を味わったのは初めてですよ! 遊ぶ時はぜひヘッドホンで、部屋の電気をまっくらにしてジャック・イン!


大体このへんまでが、万人にオススメしたい名作ですね(「MineCraft」はちょっと違うかも)。ここから下は、だいぶ僕の好みが入ってきてます。


6位の「ポケットベガス」は、宇宙カジノを舞台に、ソリティアや大富豪、麻雀、リバーシなどの対戦が楽しめるアプリ。中でも僕がハマったのがソリティアで、今年の前半はこれでちょっとしたソリティア中毒になりかけました。
ソリティアみたいな「みんなが知ってるゲーム」だからこそ、負けたらものすごく悔しいし、逆に勝てた時は本当に嬉しい。もし今一番アツい対戦ゲームを挙げろと言われたら、僕はたぶんこれを推します。一時は夢にまでトランプのカードが出てきたけど、これくらいならまだ全然中毒じゃないよね!


7位は「ロックマン10 宇宙からの驚異!!」! あえてファミコン風のグラフィックにこだわった、「ロックマン」シリーズの最新作ですね。

特に目新しい点はないけど、普通に「ロックマン」として面白かったのでこのへんに。こういう横スクロールアクション、もっと出してくれないかなぁ。最初に選ぶステージはチルドマンがオススメです。


8位の「マリシアス」は、全編がボス戦というちょっと変わった3Dアクションゲーム。正直荒削りな部分は多いしボリューム的にも小粒なんだけど、「この内容でたったの800円!」というお得感がぜんぶ吹き飛ばしてくれちゃった。これで採算取れてるんだったらスゴいなー。


で、残り2本はもう完全に僕の趣味です。

9位の「ディシプリン*帝国の誕生」は、たぶんここ数年で一番「イヤな気分」にさせてくれたゲーム。開発者の飯田和敏氏は本当にどうかしてると思います。Wiiでよくこんなゲーム配信したなぁ……。

最後の「Sumotori Dreams」は、とにかくもう動画を見てください。
物理演算を使ったお相撲ゲームなんですが、ほんのちょっと押しただけでヨタヨタとすっ転ぶポリゴン力士たちの動きは、見る者をたちまち呼吸困難に陥らせること間違いなし。
対戦もできるので、接客用にぜひどうぞ。



……と、まあこのへんが僕のベストテンでしょうか。

当初は「500円以下で遊べる」にしようと思ったんですが、入れたいゲームをリストアップしていくうちに、「800円ならあのゲームも入る! いや、だったら1000円ならアレも……1500円ならアレも入れられるじゃないか!」って感じでどんどん天井が上がってっちゃったんですよね。結局、バランスを考えて「1000円以下」に落ち着きました。たぶん1000円を超えちゃうと、オススメされても「よし、今すぐ買ってみよう!」とはなかなか考えにくいんじゃないかと思ったんですよね。

ちなみに1001円以上で候補にあがっていたのは、「Portal」、「グーの惑星」、「Machinarium」、「スーパーミートボーイ」、「LIMBO」、「Trials HD」あたり。このへんはどれも遊んで損なしの名作なので、興味がある方はぜひググってみてください。最近あんまり面白いゲームがないなー、なんて思ってる人も、もしかしたら案外身近な名作を見落としてたりするかもしれませんよ!(池谷勇人)
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